「失敗しない」相続これが新常識
寄稿記事
『相続のNGワードは「やりすぎ」
相続対策の失敗と成功はここで決まる!』
2016年11月ブルームバーグニュース
「人口減なのに増えるアパート」
取材記事
2016年10月週刊東洋経済 特集【不動産投資】
寄稿記事
『相続後を左右する正しい対策、ダメな対策』
2016年9月 NHKニュースウオッチ9
特集“黒田緩和”3年半 何が起きた?
「急増する賃貸住宅 現場で何が?」内で出演
2016年9月 日経新聞朝刊【真相深層】
「アパート建設、甘い皮算用」
取材コメント掲載
2016年6月 週刊エコノミスト
特集【固定資産税を取り戻せ!】
取材記事(還付6事例提供)
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その間に書きたかった内容がいくつかありますが、まずは新春特別セミナーの結果報告を簡単に書きます。
第一弾『その相続対策では財産を守れない!』も第二弾『やってはいけない相続対策』も定員を超えるお申込みをいただき多くの方(延べ人数293名)に参加いただきました。いくつかマスコミにも取り上げられましたが、船橋会場のセミナーには、地元(千葉テレビさん)の朝の情報番組「シャキット!」のカメラも入り、セミナー風景と私のインタビュー映像を朝から流していただきました(千葉TVさんの許可が取れ次第動画をUPしたいと思います)。
週刊エコノミストさんも取材に来てくれて、4月6日発売号に2月のセミナー内容の一部を寄稿させていただく予定です。
誌面(特集ページ数)の都合で、寄稿原稿全文の掲載が難しいそうなので、ブログや動画などで、後日詳しく内容を発信させていただきたいと思います。
しばらく、さぼっていましたが、4月以降は、ホームページのリニューアルを兼ね、動画コンテンツを毎月?アップしていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。
動画コンテンツUP予告(現在、製作中・・・4月中に順次公開予定です)
【相続対策チャンネル】やる必要のない相続対策編(動画公開予告)
①いろんな相続対策があります。やる必要のない相続対策、やりすぎ相続対策、やってはいけない相続対策・・・
②今回の“相続税の増税”は本当に大増税なのか?
最も影響が大きい人は?
③猫も杓子も相続対策!相続税“大増税“にあおられすぎです。
“必要のない相続対策”“やりすぎ相続対策”に注意ください!
④失敗の多くは過剰な相続対策“やりすぎ相続対策”
自分の財産額に合った相続対策とは?
⑤都心部に自宅を所有していると
家を売却しないと相続税を払えないはウソ?か
⑥相続発生時に被相続人と同居していない親族でも
小規模宅地等の特例が使えるケース(通称『家なき子』)の場合とは?
⑦相続発生時に被相続人と同居していない親族(通称『家なき子』)が小規模宅地等の特例を使かう為のポイント
⑧猫も杓子も相続対策!相続税“大増税“にあおられすぎです
あなたも『必要のない相続対策』をやらされているかもしれません。
“必要のない相続対策の事例“
⑨不動産を使った相続対策は特に要注意!
⑩タワーマンション節税がブーム?
来年1月1日からの相続税課税強化を控え、土地オーナーによる賃貸住宅建設やタワーマンション購入による資産組換えなど、節税対策が多く取られるようになっている。加熱する相続税対策について、財産や不動産に関するコンサルティング業務を展開する青山財産ネットワークスの財産コンサルティング事業本部第二事業部事業部長の高田吉孝氏に聞いた。
―― 最近話題になっている相続税対策についてどう考えているか。
高田氏 やる必要のない対策が増えている。これまでの相続税対策は土地オーナーが賃貸住宅を建てるのが一般的だった。しかし今はプチ富裕層にまで広がり、しかも過剰に行われている。タワーマンション購入による節税は理屈はあっているが、全部が全部成功するわけではない。自己資金で購入するのはいいが、ない人が値上がりを前提にした購入を行うべきではない。現在は建築費が高騰しており、一部の物件しかうまくいかないだろう。そもそも来年1月の課税強化では8000万円の課税価格の場合、1次相続税額で非課税だったのが175万円に広がる程度。40億円の1次相続でも相続税の増加額は約7.6%増にとどまる。そこまで対策を行う必要はない。
―― 賃貸住宅建設が増加傾向にある。
高田氏 土地オーナーによる賃貸住宅建設についてはこの20年で2割も家賃が下がっているエリアもある。これ以上家賃が下がるとまずいオーナーは多い。賃貸住宅建設の問題点は人口と資金計画。東京都でも20年以降は人口減に向かう。また20年後には入居者の中心であった20~49歳が大幅に減る。サブリースは更新の際に家賃の下落を受け入れざるを得ない。家賃下落を前提に収支計画を立てて、自己資金をしっかりと入れて建設すべき。賃貸住宅の建築に当たっては借入れが当たり前のようになっているが、土地を一部売ってでも自己資金を作った方がいい。今後20年で家賃は30%ほど下がる可能性がある。 ―― いい相続税対策とは何か。
高田氏 相続税を過剰に怖がるべきではない。財産の規模や、家業などの自分を取り巻く環境をしっかりと把握する必要がある。そこを把握すれば適切でバランスが取れた対策はみえてくる。また、誰のための相続税対策なのかを資産家は考える必要がある。例えば長男への家督引継ぎもある家庭もあれば、そういうことを考えないで済む一般家庭もあり、そういった事情の違いも出てくる。規模にかかわらず共通する項目としては、遺産分割。そして納税資金対策から入ること。今は「節税」というキーワードが独り歩きし、過剰な節税対策ばかりが過熱している。相続税をゼロにしたいという人もいる。賃貸住宅の建設などでどんどん借入れを行えば一時的にできなくはないが、過剰な節税対策は無理が生じる。分割を視野に入れ、不動産を適切に組み込み、保険など金融資産も採り入れていくこと。課税価格が1億円程度の一般家庭であれば生命保険の非課税枠の利用や生前贈与、小規模宅地の特例などを活用すればいい。欲をかきずるのは失敗につながる。資産を守る意識は大事だが、そもそも税制は資産が減るように設定されている。やりすぎの筆頭は借金。賃貸住宅の建設は半分は自己資金を入れるべきだ。土地オーナーが長男に土地を全て相続させたいというケースが多く、そのために対策を立てようとするが、全部を守ろうとするのはなかなか厳しい。
以前、新聞で、『 別居の子は優遇なし 』という見出しで、別居している子供は小規模宅地等の特例が使えないと勘違いさせる記事が掲載されていたことがありましたが、
一般的にも、相続時に相続する人が同居していないと小規模宅地等の特例が利用できないと思っている方が多いようです。
一次相続では、通常配偶者が自宅を相続する事が多いので問題は少ないと思いますが、二次相続時に実家の母親と別居しているケースで、この特例が使えないと思っている方が多いようです。
小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等の要件には、
“被相続人と同居していた親族(同居要件) だけではなく、
“被相続人と同居していない親族” でも適用を受けられる要件、俗に言う『家なき子』の要件もあります。
同居していないとい理由だけで小規模宅地等の特例が使えないと考えるのは早計です。
では、相続発生時に被相続人と同居していない親族でも小規模宅地等の特例「特定居住用宅地等(いわゆる自宅)で特例が使えるケース(通称『家なき子』)の場合とはどういうものかですが、
その解説の前に、小規模宅地等の特例(の特定居住用宅地等(いわゆる自宅)で特例)が使える要件ですが、国税庁のホームページには、次のように掲載されています。
区分の下段の【被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等】は、単身赴任などのケースなので、今回は省略します。
上の【被相続人の居住の用に供されていた宅地等】の部分を説明します。
区分=被相続人の居住の用に供されていた宅地等(亡くなった方が住んでいた自宅の土地)
そして、この取得者(小規模宅地の特例が使える相続で引き継ぐ人)ですが、以下のようになっており、
(1)被相続人の配偶者
(2)被相続人と同居していた親族
(3)そして(1)(2)がいない場合に限り、
『被相続人と別居していた一定の親族』=「いわゆる別居の子供」
にも小規模宅地等の特例が適用できる場合があります。
その【一定の別居親族】(例えば、別居の子どもが小規模宅地等の特例を受ける為)の要件とは
○日本に住所を有するか、または日本国籍を有している
○相続前3年以内に日本国内にある自己または自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない
自己または自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない」=持ち家に住んだことがないという事で『家なき子』と呼ばれているのでしょう。これが、いわゆる『家なき子』の要件です。
”相続前3年以内に持ち家に住んでいないこと”これが一番のポイントです。
賃貸物件に住んでいることが条件ではありません。親の持ち家に(お金を払わずに)住んでいてもかまいません。
注意が必要なのは、親がマンションを買ってあげるケースなどです。
全部親が、お金を出すのもどうかとなり、一部を子どもが出すとなる事もあると思いますが、
それは、相続税(小規模宅地の特例の適用)を考えると良くありません。子どもの持ち分がたとえ10%でも入っていると、「相続前3年以内に~」の条件をクリアできなくなってしまいます。
親が100%持ち分のマンションに住めば、『家なき子』となり、特例の適用ができます。
子どもが2人いて、○長男は賃貸マンションに居住、○次男が親のマンションに居住であれば、長男が二次相続で、母のマイホームの敷地を引き継げば、特例は適用できます。
仮に子どもが2人とも持ち家に住んでいれば、どちらか一方が自宅を賃貸で貸すか売却して、自分は借家に住むという手もあります。
ただし、3年間はその状態を続ける必要があり、相続はいつ起こるかわからないので、タイミングは難しいところはあります。
ただ、小規模宅地の特例を使えば、何千万円も相続税が変わってくる場合は、二次相続でも特例が使えるように考えていく必要があるでしょう。※但し、遺産分割の問題は別に存在する可能性があります。
]]>週刊住宅2014年9月29日号寄稿文全文掲載
来年から始まる相続税の課税強化(基礎控除引下げ及び最高税率引上げ)に向け、建築・不動産関係業者などによる「不動産を用いた相続対策ビジネス(以下、“不動産相続ビジネス”と書く)」が活況を呈している。ビジネス誌各社が相続特集を頻繁に発行し『相続税の増税』を過剰に取り上げているように『相続対策』への関心は高まっている。
相続税額としては、そこまで必要のない人が借入での不動産購入を勧められたり、無謀な資金計画でアパートの建築提案を受けているケースも多く見られる。判断がつかず弊社に相談に来られる方は氷山の一角であろう。
そこで今回は「不動産相続ビジネス市場における問題点」を中心に述べさせていただく。
相続対策において「不動産」は欠かせない、というよりも、「簡単に大きな相続税の節税効果が得られるものは今や“不動産”だけと言っても過言ではない」。そのため、相続対策ビジネスにおいては、税の専門家である税理士・公認会計士だけでなく、不動産を主なビジネスとする人たちが多く活躍し、積極的な営業活動を展開している。不動産を使った相続(税)対策の代表格と言えば賃貸住宅の建築であることは言うまでもない。
総務省統計局発表の平成25年の全国の空き家数は820万戸であり、住宅のストックは既に十分ある中、日本の人口は減少しており、空室や家賃下落に苦しむオーナーも多い。にもかかわらず賃貸住宅の建築は止まらない。
来年からの相続税の課税強化が影響しているのは間違いないが、それにも増して建築を増加させている要因は相続対策を口実にした積極的なセールスであり、それを後押ししているものは『サブリース(家賃保証)契約システム』だと考えられる。不動産の賃貸借におけるサブリース契約と言えば、不動産会社などが大家(オーナー)から建物を借り上げ、空室でも家賃を保証し、運営・管理を一手に引き受ける賃貸借契約(賃貸システム)の事を言う。
サブリース契約は一定期間の空室は保証されるが、そこに家賃の下落を防ぐ効果はないのである。一般的には(会社よっては10年間の固定後)2年毎に家賃の見直しが出来る契約になっており、法的にサブリース会社にも賃料減額請求権は認められている。最近のほとんどの契約書は家賃の下落交渉などがまとまらない場合、サブリース会社からの契約を解除できるような内容になっている。そのため「30年一括借り上げ」などと言う謳い文句には何の保証もないのである。
このような謳い文句で管理戸数を急激に増加させ、一時管理戸数でトップに迫った某社も、リーマンショック時の業績悪化(空室の増加)のしわ寄せをオーナーへの大幅家賃減額や一方的な契約解除という形で押付け、問題になったのは最近の話である。
先ほども述べたが、日本の人口は減少している。
(図1:首都圏の人口推計グラフ)
下記表は、週刊ダイヤモンドに掲載された表ですが、記事用にコンパクトに編集されています。
どちらも地方でのアパート建築の相談でしたが、共通していた事は“30年一括借り上げのサブリース(家賃保証)”の提案で、ほぼ全額借入で、サブリース後の利回りが6%程度の建築提案でした。
実は、明後日9月8日(月曜日)発売のダイヤモンドが、また相続税を取り上げた特集号なのですが、その中でまた私が取材を受けたページがあり、サブリース(家賃保証)によるアパート建築に関する内容が掲載される予定です。
内容は、サブリース後利回り10%でも全額借入では、家賃が30下落し、設備の減価償却が終わってしまうと税引き後(試算では40%超)の手残りは、赤字に転落するので、最低でも40%、できるだけ50%くらいの自己資金を入れないとダメです。的な内容になっているはずです。東京でも2020年以降は人口の減少が進みますので家賃30%下落は現実的な数字だと考えています。※グラフ参照
まだ発売前なので、詳しくは書けませんが、記事の中に東京の立川市郊外のアパート建築(家賃30%下落時)の収支です。
私は、“10%”の利回りでも全額借入はダメですと言っているのに“6%”の利回りで収支が合う訳がありません。15%も家賃が下がればアウトでしょう。新築物件は家賃が少し高くても決まりますが、新築プレミアムが落ち、少し市況が悪いと一気に10%下落という事も実際に起こっています。
とにかく、そんなありえない内容ですが、相談者の方は、やはり“30年一括借り上げのサブリース(家賃保証)“があるので大丈夫ではないかと思ったとの事でした。
以前のブログに書いた契約書内のサブリース会社からの契約解除条項ですが、やはりどっちの契約書も『甲(オーナー)・乙(サブリース会社)間での協議(家賃値下げの事)がまとまらない場合、乙から契約の解除ができる』内容となっていました。
契約する際、口ではなんとでも言えます(実際、契約の際には不安になるような説明はしません)。しかし最終的には“契約書”に書いてある内容がまずは優先されます(裁判等で争うには相当な労力を費やします)。自分達でさんざん建てておいて、空室が増え家賃が下がったので、家賃を下げて下さい。と言ってくるのです。値下げ交渉に応じなければ、契約の解除になる事もあります。“30年一括借り上げ”だからと言って安心できません。
以下、9月8日発売の週刊ダイヤモンドに掲載予定の家賃下落30%時の収支の参考データ
・2020年以降は、東京でも中心部を除き人口が減少していきます。
2020年以降は、どんどん減っていきます。
21年後には、団塊ジュニア層も60歳を超え、そのあとの層はこんなに少なくなります。
26年後にはこんな状態に!
つづく
2013年度は、消費税増税前の駆け込み需要もあった為、賃貸住宅以外の建築も増加しました。
しかし、国土交通省が31日発表した2014年1~6月(上期)の新設住宅着工戸数は、前年同期比3.4%減の43万5777戸と4年ぶりのマイナス(注文住宅など「持ち家」が11.9%減、マンションや建売住宅の「分譲住宅」は11.8%減)となりましたが、
アパートなど「貸家(賃貸用住宅)」は、11.7%増の17万6291戸と消費税増税後の反動をものともせず増加となっています。
来年1月からの相続税増税を意識した節税対策の一環として、賃貸住宅の着工が増えているのは、新聞や雑誌での報道の通りだと思います。
それらを反映してか、私のブログ(ホームページ)を見ていただいて相談のメール等をいただく件数も増えています。
サブリース(家賃保証)契約における問題点をL社の大幅家賃減額の事例やサービス付高齢者向け住宅の有効活用の注意点の記事の中で多く掲載してきた効果かサブリースがらみの相談が多くなりました。
賃貸住宅の着工の増加要因は、前出の来年からの相続税の増税の影響(それを口実にしたハウスメーカー(建築会社)の営業攻勢)が主要因であるのは間違いありませんが、安易に数億円の借入を行い、やる必要のない相続対策(賃貸住宅の建築)をやってしまうのは、“サブリース契約(家賃保証)”と言う仕組みが実態(将来の予測含め)以上の安心感をオーナー(建築主)に与えているせいでしょう。
誤解を招く前に、言っておきますが、私はサブリース(家賃保証)の仕組みを否定しているのではありません。サブリース(家賃保証)は、使い方と契約の内容によっては有効活用(手間ひまの軽減&収支の安定等)にとっても有効な手段です。
私が問題視しているのは、建築を提案する側が、サブリース契約のリスクを完全に説明せず、長期的に安心であるものと思わせ(幻想)ている点です。
サブリース契約における注意点の詳細については過去のブログを読んでいだだければと思いますが、最近つくづく“ひどい”と思う内容は、サブリース契約書の“契約の解除”に関する条文です。
“30年一括借り上げ”は今やめずらしいものではありませんが、数社は大々的に30年間の安定した賃貸経営をアピールしています。
そのように大々的に30年一括借り上げを謳っている会社の契約書の“契約の解除”に関する条文は、このように※なっています。
※全ての契約書を確認した訳ではありませんので、全ての契約がこうだとは言い切れませんが、最近相談を受けたものはほとんど(解約予告期間は6か月のものも多い)このような内容となっています。
〇〇社の契約書の場合、たった“3ヶ月”の予告期間で安心のはずの30年一括借り上げが解除できます。▲▲社の契約書の場合は、家賃の値下げに応じない場合は、“直ちに”30年一括借り上げが解除できてしまいます。
わかり易く言うと、オーナーが家賃の値下げに応じなければ、サブリース会社から簡単に契約の解除ができると言う事です。
契約をする際には、この条文については、きちんと説明していなのか、相談を受けた方は皆、契約する時には気づいていなかったと言っていました。
全く説明をしない事はないと思いますが、セールスマンが、オーナーを心配さすような言い回しをせず(うまくごまかして)説明しているのでしょう。
このテーマで書き始めるとどんどん書きたくなってきたので、続きは次回をさせていただきます。
ケース4 共有地
トラブルの元は早く解消
マンションと等価交換も
一つの不動産を共有することは、親族間であってもトラブルの元になる。親子や祖父母、孫といった直系尊属(※厳密に言うと直系尊属・直系卑属)なら、相続の発生によって共有関係が次第に整理されていくが、兄弟姉妹や夫婦間での共有は避けるべきだ。共有地は活用や売却をしたくとも、他の所有者の合意がなければできず、利害関係でこじれやすい。例えば、兄弟で共有している一軒家に兄一家が住んでいれば、次男が「売却して現金にしたい」と思っていても、兄弟の合意がなければ難しい。夫婦なら離婚する可能性もある。
また長期間にわたって兄弟姉妹の共有の状態が続くと、兄弟姉妹それぞれの配偶者や子ども、孫へと、相続などに伴って権利関係者がどんどん増えていく。互いの関係も疎遠になり、利害を一致させることがより困難になる。共有地の持ち分を売却することもできるが、通常は権利関係の複雑な共有地を購入する人はまずいない。仮に売却できたとしても、金額は相当低くなる。こうした土地の共有は、問題が起きる前にできるだけ早く解消しておくべきだ。
共有地の解消方法は、①共有物の分割、②交換、③譲渡、④贈与――が一般的だ。①は、持ち分に応じて土地を分割すること。②の「交換」は、複数の共有地の持ち分どうしを交換すること。要件を満たせば、不整形地で紹介した「交換特例」も活用できる。③は他者の持ち分を購入すること。④は土地を共有する他者に無償で持ち分を贈与すること。ただ、贈与税の基礎控除(年110万円)を超える分には贈与税がかかる。このほか、共有地の所有者間で合意できるなら、土地を共同で売却して現金化し、持ち分に応じて分ける場合もある。
土地を有効活用しながら共有を解消するには、共有地に分譲マンションを建設し、持ち分に応じてマンションの部屋を取得する方法もある。共有地をいったん、マンション開発業者(デベロッパー)に譲渡したうえで、デベロッパーの資金でマンションを建設。区分所有者は土地代金に見合う部屋を取得し、開発前の持ち分に応じて分け合う。また、デベロッパーは残りの部屋を分譲し、建設費用を回収する。
土地と区分所有建物を「等価交換」する方式と言え、土地の所有者にマンションの建設資金の負担が発生しない。また、土地の譲渡に所得税がかからない「立体買い換えの特例」を適用できるケースが多い。土地の形状や立地が分譲マンションに適さないなら、デベロッパーに一戸建ての住宅を複数戸、建築してもらい、共有地の持ち分として取得した戸建住宅を賃貸するケースもある。
ケース5 低収益不動産
「リファイニング」で再生
シェアハウスへの転換も
賃貸マンションは年数とともに老朽化し、間取りや設備も時代に合わなくなる。例えば、バブル期に建設されたワンルームマンションは1室15平方㍍のユニットバスタイプが多かったが、現在は20平方㍍以上が一般的で、バス・トイレ別の部屋が好まれる。その結果、家賃水準が低下したり空室率が上昇したりし、低収益化に悩む不動産オーナーは少なくない。資金を借り入れて収益物件を建てた場合、当初見込んだ収支計画を下回り、他に所有する物件の収益で赤字を穴埋めしていることも多い。
こうした低収益物件は、内外装を一新する「リフォーム」や用途・機能を変更する「リノベーション」が必要となる場合が多い。ただ、まとまった資金が必要になるうえ、特に借り入れ資金の返済が残っている場合は、リフォームやリノベーション後の収支計画をより厳密に立てる必要がある。さらに問題なのは、建物自体が耐震性に問題を抱えている場合だ。リフォームやリノベーションでは対応できず、建て替えではさらに多額の資金がかかる。
このような場合、既存建物の構造部分を残したうえで、耐震補強して再生する「リファイニング」という方法がある。新築に比べてコストは6~7割で済み、工期も半分以下しかかからない。もともと空室だった部分をリファイニング後、分譲マンションとして売却すれば、新築マンションよりも安い価格で販売でき、リファイニング資金の一部も回収できる。また、現在の建築基準法に沿って建て直せば、高さ制限などから現状より小さな建物になってしまう問題も解決できる。
土地オーナーの中には、企業の独身寮を建てて活用していた人もいる。しかし、企業との契約満了などによって、1棟が丸ごと空いてしまったケースの相談もあった。そこで提案したのが、共有スペースで住民同士が交流できる「シェアハウス」への転換だ。独身寮からの改修には他の用途変更と比べるとコストがかからず、シェアハウス専門の運営業者もいる。シェアハウスはワンルームマンションやアパートより賃料が安いため、最近は大学生や外国人に人気が高い。
ケース6 駅から遠い立地
マンションは「駅から5分」
賃貸医院や戸建てで活用
これまで土地活用といえば、賃貸マンションやアパートが一般的だった。しかし、日本は今後、人口減少が進み、立地に劣る物件は競争力を失っていく。これから賃貸マンションやアパートを建てる際の立地は、借りる側の事情も踏まえて厳しく判断すれば、駅から徒歩5分の圏内が一つの目安となるだろう。駅から遠く離れているなど、立地の悪い場所に賃貸マンションやアパートを建ててしまえば、収益が悪化した後に売却しようとしても、安値でしか処分できなくなってしまう。
ただ、駅から離れている住宅地でも、時代のニーズに合わせた活用法はさまざまある。その一つが、開業医への賃貸医院の提供だ。住宅地であれば一定の診療ニーズがあり、近隣に競合する診療科目がなければ、成立する可能性が高い。病院経営コンサルタント会社などは、地域の人口動態や立地条件、競合する医院の状況などを分析する「診療圏調査」を実施している。調剤薬局との共同店舗としたり、複数の診療科目の開業医を集められれば、医療モールとしても展開できる。
駅から30分圏内なら、戸建て賃貸とする方法もある。必ずしも電車で通勤する人ばかりとは限らず、駐車場を2台分確保するなどして多様な借り主に対応すれば、一定の需要を見込むことはできる。1軒当たり100平方㍍程度の広さが必要で、300平方㍍の土地があっても3軒しか建てられないという制約はある。ただ、建築費用はマンションほどかからず、家賃収入でもマンションより高い利回りが期待できるケースが多い。
隣地への売却が原則
バイクコンテナ活用も
15坪(約50平方㍍)程度以下の土地を指すことが多い「狭小地」。都市計画道路の整備などに伴って、わずかな土地が残ってしまうことは少なくない。土地の形状も、細長かったり三角形だったりすることもある。それでも、駅の近くや人通りの多い場所であれば、駐輪場や宝くじ売り場、広告看板の設置など、活用方法はいくつかある。問題は、住宅地の中にある場合だ。建物を建てて活用するには狭すぎ、工夫して建てたとしても設計の制約などから建築費が高くなりがちで、借り手も付くかどうか分からない。
狭小地は活用が難しくても、固定資産税と都市計画税(市街化区域内の場合)は毎年かかる。また、住宅を建てられるなら、面積が200平方㍍までは小規模住宅宅地として評価され、固定資産税評価額が6分の1となる減額措置の適用を受けられるが、狭すぎて住宅を建てられなければ、雑種地として固定資産税評価額の100%がそのまま課税されてしまう。さらに、相続時には相続財産として相続税の課税対象にもなる。
こうした狭小地で活用が難しい場合は、隣地の所有者に購入してもらうのが原則だ。隣地の所有者にとっては、一体で利用できるため、メリットが大きい場合が多い。狭小地を活用しきれずに、ただ税金だけを納めているのであれば、安い価格でも買い取ってもらうのは一つの考え方だ。ただ、隣地の所有者と価格で折り合えず、安く売るくらいなら持っておきたいと考える人も多い。
住宅地の狭小地の活用方法は、駐車場(コインパーキング)が一般的だ。また、プレハブの建物を建てて、コインランドリーとする活用もある。乾燥機を持たない単身者なども多く、住宅地でも梅雨時などに乾燥機の需要が見込める。最近、増えているのは、バイク収納用のコンテナを並べて貸し出す「バイクコンテナ」としての活用だ。用途地域によってはできないが、住宅地なら一定の確率でバイク好きの人は存在するが、盗難やいたずら、風雨などから愛車を守るため、カギをかけてでも安全に保管したいというニーズは強い。
バイクコンテナは1台分で幅1㍍、奥行き2~3㍍、高さ2㍍程度で、土地の面積に合わせてコンテナの個数を調整できる。また、車が入れないような間口が狭い土地であっても、バイクなら幅を取らず奥まで入れるため、活用できるメリットは大きい。こうしたバイクコンテナ専門の運営業者もある。
「交換特例」で所得税減
購入で整形メリットも
区画整理を終えた土地などを除けば、四角いきれいな形の土地ばかりではない。三角形や台形、道路に面した間口が狭いなど、「不整形地」の形状はさまざまだ。土地の形状が悪いことで、活用の際にもさまざまな制約が生まれ、十分な収益を上げられない原因となる。土地どうしを交換する際、譲渡所得とみなさず所得税がかからない「固定資産の交換の特例」などを活用し、土地の形をできるだけ早く整えておきたい。
例えば、図のような幹線道路に面した土地を考えよう。幹線道路沿いの土地はコンビニエンスストアなどが有望な借り手となるが、道路に面する間口が狭いと道路から入りにくく、駐車場の台数も確保しにくいため、借り手がつかないケースが多い。そこで、土地の一部を隣地と交換し、道路への間口を広げれば、借り手にとっても使いやすくなる。固定資産の交換の特例は、交換した土地どうしの時価の差額が、時価が高い方の土地の20%以内であれば、所得税がかからない。
収益性が見込める立地であれば、隣地の一部を購入して土地の形を整えたほうがいいケースもある。例えば、間口が狭いためコンビニに貸したくても借り手がつかない700平方㍍の土地があったとして、隣地から150平方㍍の土地を7500万円で買って整形地にするケースを想定する。3600万円で建物を建ててコンビニに貸す場合、コンビニ側から土地所有者に建築協力金として建築費に相当する無利子の貸付金3000万円と敷金600万円を出してもらい建築する事が可能だ。
土地所有者はコンビニ側から年間1500万円の家賃収入が支払われるとすれば、コンビニ側に年間200万円を月々家賃の一部と相殺し15年で均等返済する。土地所有者の年間の収入は1300万円(=1500万円-200万円)となる。単純計算では(以下()内は説明文です。(厳密にいうと固定資産税も引かなければいけないのでこうしました))、土地の購入代金7500万円は6年で回収できる計算だ。購入する土地の単価が周辺相場より少々割高であっても、借り手が付きやすいように土地の形を整えるほうが、有効に活用できるケースは少なくない。
ただ、住宅地であれば、隣地を購入してまで整形地にするメリットは少ない。不整形地に建つ賃貸マンションを考えても、土地の形は入居者の日常生活には影響せず、土地の形を整えたところで、家賃を上げられるわけではないからだ。
早急な処分が不可欠
売却、物納も選択肢
借地権が付いている宅地、いわゆる「底地」は、土地所有者にとっては悩みの種だ。借地借家法によって借地人の権利が手厚く保護されているため、土地所有者がその土地を別の用途で活用したいと考えても、借地人に立ち退いてもらうことは難しい。一方、地代の水準も低いため、土地活用として収益性も見込めない。借地人に底地を買い取ってもらうなどして、早急に底地の状態を解消することが欠かせない。
底地の地代の相場は、東京23区内の都心部を除く住宅地の場合、1坪(3・3平方㍍)当たり600円~800円程度。商業地でも同1000~2000円程度だ。1坪の地代を600円とすると、100平方㍍(約30坪)の住宅地の地代収入は年間21万6000円。固定資産税が6万円程度とすれば、土地所有者の手元には16万円ほどしか残らない。
また、底地には相続税ものしかかる。この土地の路線価を1平方㍍当たり33万円とすると、借地権のない状態の土地の相続税評価額は3300万円。借地権割合を60%、土地所有者の相続税率を40%とすれば、この土地の相続税額は528万円(=3300万円×40%×40%)となる。毎年の土地所有者の収益が16万円では、相続税分を賄おうにも33年かかる計算になってしまう。
底地を解消するには、大きく①売却、②共同売却、③交換、②買い取り――という方法がある。①の「売却」は、借地人に底地の所有権を買い取ってもらう方法だ。金額交渉の結果として、時価の借地権割合分で折り合うことが多い。ただ、借地人にまとまった現金がないこともある。その場合、土地所有者と借地人が共同で、第三者に土地の所有権と借地権を一体で売却する方法もある。これが②の「共同売却」で、所有者と借地人が売却で得た現金を、借地権割合に応じて分割すれば、互いに不公平感が残らなくて済む。
③の「交換」は、借地人と土地所有者の間で、土地の所有権と借地権のそれぞれ一部を交換し、土地の所有権と借地権が同じ人になるように調整したうえで、土地を分割する方法だ。互いに現金を支出する必要はないが、分割可能な土地の広さがあることなどが前提となる。④の「買い取り」は、土地の所有者が借地権を買い取る方法だが、借地権を買い取った後の土地活用で、買い取った金額に見合う収益性を得られるかが判断の分かれ目となる。
底地を相続発生の際、相続税として物納する方法もある。ただ、現金で相続税を納めることが難しい場合など、物納にはさまざまな条件があることには注意が必要だ。さらに、複数の底地をまとめて買い取る専門業者もあるが、極端に安く買いたたかれてしまう可能性が高い。そのため、専門的になるが、複数の底地買い取り業者に対し入札を実施し、高値で落札した業者に売却するという手段もある。
事業用資産の買い換え特例を使った場合の最大のメリットは、
80%について課税が繰り延べされますので、前出の例の場合、土地を売却した時点では、譲渡税は4%(譲渡税20%の内80%(16%)が繰り延べられるので)支払うだけで済むことです。
反対にデメリットは、建物の減価償却対象額が少なくなり経費が減り、結果として所得税(個人の場合)が高くなる。
前回、簡易的に計算した結果では、
買換え特例を使った場合は、譲渡税が 7,280万円 安くなるが、減価償却額(取得費)が少なくなることにより、税率(所得税・住民税合計)40%の場合では、税負担が7,600万円増える。
所得税率にもよりますが、簡単に言うと、譲渡税を一括で払うか、所得税として数年に分けて払うかの違いのようなものですが、この例では一括(譲渡税)の場合20%の税負担、数年に分けて払う(所得税・住民税)の場合40%で計算していますので、単純に比較すれば一括(譲渡税20%)の方が税負担が少なくなる事になりますとまとめました。
図でまとめると、こんな感じです。
更に、買換えた不動産を売却した時に発生する譲渡税を考慮(買い換えた不動産を所有し続ける場合は関係ありませんが・・・)するともっと差が出ます。
土地部分だけで比較(計算の前提条件は前回記載と同じで簡易計算)をしても、
○買換え特例を使って買った土地(2.5億円)を 2億円で売却した場合(値下がりした場合でも)
購入した土地部分 2億5000万円 の取得費は
250,000,000×0.2 + 250,000,000×0.8×0.05 = 60,000,000円
長期譲渡(20%で計算)の場合、譲渡税は
( 200,000,000 - 60,000,000 )× 0.2 = 28,000,000円
譲渡税が2,800万円となります。
●買換え特定を使わなかった土地(2.5億円)を 2億円で売却した場合
購入した土地部分 2億5000万円 の取得費は そのままなので売却益
は発生しませんので、当然譲渡税も発生しません。
単純な計算では、ここでも買換え特例を使った場合の方が、税負担が2800万円多くなります。
更に買換え特例を使って、譲渡税の一部を繰り延べれば、上記の数字にはなりませんが、そこまでの計算は面倒なので省略させていただきます。
ここまで書くと、断然買換え特例を使わない方がよさそうな結果となりますが、まだ解説していない買換え特例を使ったメリットとしては、
最初の譲渡税が少なくなるので、先の例であれば、7000万円ほど手元に残るお金が増えるので、7000万円借入が減る又は、7000万円高い物件が購入できる(7000万円分運用が増える)と言う事になります。
単純計算では、収益物件のNET利回りが4%とすれば、年間280万円税引前の収入が増えます。
10年間で2800万円、20年間で5600万円、50%の税引き後だと、
年間140万円、10年間で1400万円、20年間で2800万円手残り金額が増える事になります(借入の場合は異なります)。
厳密には、個別の事例において試算してみないと明確な事は言えませんが、個人的な見解(まとめ)としては、
無理(買い換えを優先して物件選びを妥協)をしてまで、事業用資産の買い換え特例にこだわる必要はないと考えています。
明らかに買換え特例を使った場合の方が税負担が増えます。
平成24年度の税制改正により、買換え資産の土地等の範囲に面積が300㎡(90.75坪)以上という条件が追加されましたので、相続対策の為に土地(駐車場、畑)などを売って、都心部の収益不動産購入する、いわゆる『不動産の組み換え』には使い勝手が悪くなりました。理由は、都心部(路線価の高いエリア)で土地が90坪以上の収益不動産となると物件価格がかなりの額となってしまうからです。
事業用資産の買い換え特例は時限立法です(現在は平成26年12月31日の譲渡まで)。時限立法とは言うものの、これまでは毎回延長となりました。いつも今回は延長されないのでは?などとうわさされながら延長され続けてきました。平成24年度の改正の時も「今度こそ延長されない」のではといううわさを聞きました。結果は、300㎡以上と言う条件が付き(9号買い換え)延長となりました。
今回も延長しない(終了となる)のではないかとの説もあります?がさて、どうなるでしょう?
『年内で買い替え特例が終わる可能性が高いので、年内に売却しましょう』と、土地等の売却(不動産の組み換え)を勧めるセールストークにも要注意です。
と言う事で、事業用資産の買い換え特例のメリットとデメリットについて、具体例を交えながら説明していきたいと思います。
話と計算を簡単にする為に、まずは5億円の土地を売却して5億円の収益物件(土地2.5億円、建物2.5億円)を購入した場合の例で説明します。
※土地の取得費は5%、譲渡経費は2000万円とします
※復興特別所得税は考慮しない
最大のメリットは、80%について課税が繰り延べされますので、上記の例の場合、土地を売却した時点では、譲渡税は4%(譲渡税20%の内80%(16%)が繰り延べられるので)支払うだけで済みます。
○買い換えを使った場合の譲渡税は、 1,820万円
●買い換えを使わなかった場合の譲渡税は、9,100万円
その差は、7,280万円 となります。
これが最大のメリットであるのは言うまでもありません。
反対にデメリットは、建物の減価償却対象額が少なくなり経費が減り、結果として所得税(個人の場合)が高くなる事です。
高齢者住宅研究所が、サ高住の業界団体から委託を受け昨年春、2012年末までに登録された2055物件全てにアンケート調査を実施し、回答のあった647物件について、99項目を点数化し評価(ランク付け)したとの事。
<調査結果>
優良な住まいとされた Aランクの物件は 14.7%( 95件)
標準的な住まいとされたBランクの物件は 41.7%(270件)
標準未満の住まいとされたCランクの物件は 40.3%(261件)
問題がある住まいとされたDランクの物件は
3.2%( 21件)
となっています。
2055物件の内、回答(契約書や説明書の資料返送)のあった647物件の調査結果が上記の結果ということは、実際(2055物件全てでは)もっと悪い結果が出るのではないか?(悪い事業者の方がアンケート回答率が低いはず?)と思いますので、いずれにしてもサービス付高齢者向け住宅の質はまだまだ十分でないことがこの調査結果からも読み取れます。
これは、あくまでも入居者サイドに立った視点での調査です。
私は、『サービス付き高齢者向け住宅』の有効活用に対しては、慎重派(否定派)の第一人者を自負しており、
『サービス付き高齢者向け住宅』の有効活用はやめた方がいい!
と言うタイトルで、セミナーを行ったり、ブログ記事を書いたりしていますが、あくまでもこれは、建築するオーナー(貸主)の立場での考えです。ほとんどのサービス付高齢者向け住宅は、地主さんなどが建築して、運営事業者等に一括で貸しています。
※なぜ、『サービス付高齢者向け住宅』の有効活用はやめた方がいいかと言う事につきましては、ブログ記事をお読みください。
入居者にとっては、沢山の物件(サービス付高齢者向け住宅)が出来て、アンケート結果に見られるように良い物件から悪い物件があっても、物件(サービス付高齢者向け住宅)が増えれば、それだけ物件間の競争が進み、制度上の問題点も若干は改善されるとともに最終的には、悪い物件は淘汰され、結果として入居者にとってはサービスも改善されるでしょう。
悪い物件は、運営が行き詰まり、運営事業者の入れ替わりも起こるでしょう。いくら20年30年のサブリース契約をしていても運営事業者が撤退してしまえば何の保証も有りません。運よく代わりの運営事業者が見つけられたとしても、家賃が大幅に下がる可能性は非常に高いです。
多くの物件(サービス付高齢者向け住宅)が供給(建築)され競争が起こることにより、良くない物件(運営事業者)が淘汰され、オーナーの家賃が下がる事により、結果として入居者の家賃が下がる事になりますので、入居者の立場からすれば、どんどん物件が増えることは良い事でしょう。
しかし、それを建築(多くの場合は建築をさせたい人達からの提案により建てさせられる?)するオーナーにとっては、死活問題になりかねません。
何億円も借入して建築するケースがほとんどです。『サブリースだから安心です』『高齢化社会で需要が高いので将来的にも有望です』と言われて建てているケースが非常に多いです。
もともと入居者の住環境を良くする為、老人ホームにくらべて部屋を大きくしたりしていますので、補助金の効果も大したことがなく、利回りの低い有効活用です。たまたま良い運営事業者に巡り合えて安定した運営がされれば良いですが、有料老人ホーム(特定施設)とはしくみも制度も法的背景もちがう、名前の通りただの高齢者向けの住宅です。
一般の住宅のようにオーナーさんががんばって空室対策をする事もできません。運営事業者任せです。何億円もの借入をして共同で事業を行うようなものです。にもかかわらず、建築する際には提案者から運営事業者がセットされており、あまり深い検討もされずに建築を実行しています。
今回の調査結果からも、その辺のリスクが読みとれます。
サービス付高齢者向け住宅の建築を検討している方は、是非ご相談下さい。契約書にサインをする前にもう一度内容を見直(第三者的見方でリスクを改めて確認)しましょう。失敗する前に是非ご相談下さい。本当に有効活用になるかどうかのアドバイスだけでなく、どうすればよいかなど無料でアドバイスさせていただきます。
昨年、週刊ダイヤモンドで取材を受けた記事を改めて掲載しておきます。
そのお客様へは毎年、路線価が発表される都度、相続税の試算を行っていますので、7月になれば実際どれくらいになるかをご報告しますが、それまで待てないので公示地価の上昇率を勘案して計算して欲しいとの事でした。
個人的には、今年の公示地価の動きは大方予想通りだったので、そんなに関心がありませんでしたが、そういう経緯があり、普段セミナーなどで使っている公示地価推移の比較グラフにそのお客様が所有されている土地近くの公示地価とついでに私の自宅(武蔵野市)付近の公示地価を追加してみました。
これまで、在宅診療を行った場合の報酬点数は3000~5000点となっていましたが、1つの建物で同じ日に複数の患者に対して診察を行った場合、720~1200点まで減額されるとの事。詳しい運用内容は3月中旬には見えてきそうとの事です。
入居者を囲い込むような“不適切な事例”を排除する為であり、高齢化の進展により今後ますます医療費の増加が問題となってくる状況化では、やむを得ない事ではないでしょうか?
今回の改正(案)により、サービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームなどに向けて訪問診療を行ってきたドクターや医療法人は、単純計算すると報酬が四分の一になってしまいますので、収益的には大きなダメージがあると思います。
私は、『サービス付高齢者向け住宅の有効活用はやめたほうがいい!』と言うセミナーを継続的に開催しているように、サ高住に対しては慎重派の第一人者?だと自負しています。
私は、前身の『高専賃』時代からそのしくみの不備と将来性の懸念を指摘してきました。
但し、それはあくまでもサ高住を建てて貸す側のオーナー側の立場に立ったものです。利用する入居者にとっては、多くのサ高住ができて競争が進み、良いサ高住が増えれば良いと思います。
サ高住は、あくまでも住宅であり、老人ホーム(特定施設)とは収益構造が違います。介護事業の収益が特定施設ほど高くないため、不動産(家賃のサブリース)収益に依存する割合が高くなると言われています。
私がサ高住の落とし穴のひとつとして、
・介護事業者(運営事業者)次第で運命がきまる。
・サ高住はサービスのばらつきが大きく、運営事業者の差(良し悪し)が出やすい。
・事業者が途中で変更(撤退)した場合、大幅に賃料が下がることが多い。
と言っていますが、サ高住の中でもしっかりとした医療法人(入居予備軍患者を多く抱える医療法人)なら、サ高住でも収益基盤が高いので、良いと思っていましたが、今回の改正を受けて影響が出てくる可能性もあるのではないでしょうか?
2013年の新設住宅着工戸数は14万4,562戸(前年比2.6%増)と、4年連続で増加。
持家は2万1,548戸(同10.4%増)と2年連続の増加
貸家は5万7,957戸(同5.9%増)と3年連続で増加
分譲住宅は6万4,113戸(同2.3%減)と4年ぶりの減少
2013年12月の新設住宅着工戸数は1万3,100戸(前年同月比17.9%増)と3ヵ月ぶりの増加。
持家は1,919戸(同15.0%増)
貸家は6,036戸(同42.6%増)
分譲住宅は5,128戸(同1.0%減)と3ヵ月連続の減少
となっています。
その中で、ちょっと気になったのが、12月の貸家の着工戸数です。なんと前年同月比42.6%の増加となっています。
消費税の増税に対する工事請負契約の経過措置(指定日2013年10月1日前日以前に契約した場合は、引き渡しが4月1日以降になっても5%)の影響もあるのだと思います。
アベノミクス効果による景況感の回復や、平成27年からの相続税の増税による相続対策も関係しているのかもしれませんが、貸家の着工戸数は3年連続で増加となっています。
次のグラフは、1月のセミナーで使用した資料『首都圏の新設住宅着工戸数と世帯数の増加数の推移と受給ギャップ』です。
その後増加に転じ、昨年(2013年)は2001年レベルの水準にまで回復しました。
※このグラフは首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の合計数字です。冒頭の数字データは、東京都だけの戸数です。
今後、特に消費税増税後どのような推移になるかが非常に気になるところですが、最も注目したい点が、グラフ際下段の「新設住宅着工戸数と世帯数増加数のギャップ」【住宅の需給ギャップ】です。
つづく
相続対策ビジネスから地主さんを守るためのセミナー
『やってはいけない相続対策〔地主編〕』
今回は、相続対策ビジネスから地主さんを守るためのセミナーというコンセプトで、
『やってはいけない相続対策〔地主編〕』というタイトルです。
地主さん向けとしたので、当初は定員を各日30名としていましたが、なんとすでに200名近い申し込みが有り、キャンセル待ち状態となっています。
うれしい悲鳴です。
「民間投資活性化等のための税制改正大綱(昨年10月1日に決定した秋の大綱)」と、12月12日決定した「平成26年度税制改正大綱」の2つの大綱により実施が予定されています。
今更ですが、新聞などではあまり取り上げられていなかった項目も含め資産税・法人税関係を中心に気になる改正点をピックアップしました。
① 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算)の見直し
相続財産の譲渡に係る取得費加算額について、相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、
その譲渡した土地等のみに対応する相続税相当額に改正。
(平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産の譲渡から適用)
[解説] 相続した財産を相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合に、その相続した財産について納めた相続税を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。現行税制では、土地については、売却した土地について納めた相続税だけでなく、他の売却しない土地にかかった相続税も売却した土地の取得費に加算できますが、改正後は、実際に売却した土地について納めた相続税しか取得費に加算できない為、譲渡税負担が多くなります。
② 特定住居用財産の買換えの特例の延長
特定の住居用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1億円(現行1.5億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(平成26年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用)
③ 給与所得控除の上限引き下げ (平成28年分以降より)
|
現行(平成25年分) |
平成28年分 |
平成29年分以降 |
上限額適用給与収入 |
1,500万円超 |
1,200万円超 |
1,000万円超 |
給与所得控除上限 |
245万円 |
230万円 |
220万円 |
[解説] 現行への改正(平成24年分までの給与所得控除額は、1,000万円超については収入金額×5%+170万円)に続く改正となり、給与所得が1,000万円超の方は増税になります。
④ ゴルフ会員権等譲渡損失の損益通算の廃止 (平成26年4月1日以後の譲渡から適用)
譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要ではない資産の範囲に主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権・リゾート会員権等)を追記する。
[解説] 現行の税制では、個人がゴルフ会員権等を譲渡して損失が出た場合、確定申告することにより、給与所得など他の所得と通算し、税金を取り戻すことができますが改正後は損益通算ができなくなりますので、利用していないゴルフ会員権等で、含み損があるもの(譲渡損失が出るもの)は平成26年3月31日までに譲渡することをお勧めします。
⑤ 消費税の簡易課税みなし仕入率の見直し
会計検査院から実際の課税仕入率とのかい離が大きい業種があるとの指摘を受けたことを踏まえ、以下の業種のみなし仕入率を変更・追加する。
|
現行 |
改正後 |
金融業及び保険業 |
第四種事業(その他の事業) 60% |
第五種事業(サービス業等) 50% |
不動産業 |
第五種事業(サービス業等) 50% |
第六種事業(不動産業) 40% |
(平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用)
[解説] 金融業、保険業、不動産業はみなし仕入率が10%下がりますので、簡易課税制度を選択している限りは、同じ売上でも消費税の納税額が増えます。
⑥ 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる特定公社債の範囲の見直し
(平成28年1月1日以後に支払いを受ける利子)
同族会社が平成27年12月31日以前に発行した社債の利子は20%源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)対象から除外する。(⇒総合課税となる)
[解説] 平成25年度の税制改正大綱において「同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の役員等が支払を受けるもの(少人数私募債)」は総合課税の対象となる事となりましたが、適用開始前(平成27年12月31日)までに発行されたものについては従来通り20%源泉分離課税とされていました。しかし、今回の改正により、既に発行されているものも含め、平成28年分以降の利子についてはすべて総合課税の対象となりました。
⑦ 復興特別法人税の1年前倒し廃止
(指定期間の終了が平成26年3月31日に1年短縮)
法人の平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間に開始する事業年度を対象に課税される復興特別法人税が1年前倒しで廃止。※一方、個人に係る復興特別所得税(平成25年から平成49年までの各年分の基準所得税額に対して2.1%)は25年間継続です。
⑧ 生産性向上設備投資促進税制の創設
(産業競争力強化法施行日から平成29年3月31日までの間の取得)
一定の生産性向上設備等について、50%特別償却(建物及び構築物は25%)と取得価額の4%(同2%)の税額控除(上限法人税額の20%)との選択適用、強化法施行日から平成28年3月31日までの取得については、普通償却限度額との合計で100%特別償却と取得価額の5%(建物及び構築物は3%)税額控除との選択適用。
⑨ 中小企業投資促進税制の拡充
(産業競争力強化法施行日から平成29年3月31日までの間の取得)
中小企業者等の特定機械装置等の取得について、普通償却限度額との合計で100%特別償却と取得価額の7%の税額控除(特定中小企業者は10%)との選択適用。税額控除の控除限度超過額は1年繰越し可能。
この内容については、かなり以前から予想されていた事で、特に驚きはありませんが、あと2週間ほどで発表される税制改正大綱の増税部分のひとつなんだろうと思います。
与党は、10月1日に『民間投資活性化等のための税制改正大綱』をまとめました。これは、消費税率引上げに伴う経済対策と成長力強化のための総合的な対策が必要であることから、通常の年度改正から切り離して前倒しで決定したものであり、消費税増税(5%から8%)による景気減速防止を税制面から支援するもので、アメ(減税)の部分とも言えます。
この『民間投資活性化等のための税制改正大綱』は、12月中旬に発表される「平成26年度税制大綱大綱」とドッキングし、通常国会で成立後4月1日からの施行となりますが、先行して施行される『産業競争力強化法案』に合わせ、一部を遡及適用される予定です。
冒頭の『ゴルフ会員権の売却損 所得控除認めず』はムチ(増税)の内容の一部だと思いますが、他にも税の専門誌によると今年の税制改正内容の少人数私募債で、同族会社の役員等が支払を受けるものの課税関係にも見直し「平成27年中に発行されたものでも平成28年分以降の利子については総合課税となる」が入るとありました。
更に増税(ムチ)ねたとして、同族法人の役員報酬の給与所得控除についても見直しが入るような事も聞こえてきましたが、実施されれば不動産所得の多い方の「法人活用」による節税対策にも影響が出出るでしょう。確かに法人税が減税に向かう中、「法人活用による節税」に手を打ってきても不思議ではありません。
平成26年以降の買取価格にも注目が集まっていましたが、大幅な買取価格の引き下げ方針の発表により、駆け込み需要が発生しそうです。
再生可能エネルギーとは、法律(エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)でエネルギー源として永続的に利用することができると認められているもので、太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー、太陽熱発電、波力発電、海洋温度差発電などがあります。
今回の発表は、高コストの太陽光発電に偏った再生エネルギー導入促進の現状を見直すもので、経済産業省は、風力発電や地熱発電を推進する方針を取り入れたエネルギー基本計画を年内にまとめるとしています。
以前は、太陽光(ソーラー)発電と言えば、自宅の屋根や屋上に設置するものと言うのが一般的でしたが、今では、野立て(更地に基礎から設置)ソーラー発電、メガソーラー発電、ソーラーシェアリング、太陽光発電事業者への屋根貸し、そして金融商品としての太陽光発電ファンド(「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用して大型太陽光発電所に投資をした人が、売電収入を原資とする配当を出資割合に応じて平等に受ける事ができる金融商品)まで、色んな形態があります。
2013年(平成25年)度の太陽光発電事業の買取価格
出力 |
10kW以上 |
10kW未満 (余剰買取) |
買取価格 |
37.8円 |
38円 |
買取期間 |
20年間 |
10年間 |
20年間の固定期間買取を受ける為には、10kW以上の規模の発電量が必要となります。一般家庭の屋根や屋上などに取り付けられている太陽光発電は、おおむね2kWから4kW程度です。
最近、グリーン投資減税による税制支援を受け、市街化調整区域など有効活用できない土地や、大きな屋根へ50kW未満の設置を提案する事業者も増えてきました。野立て(更地に基礎から設置)の太陽光発電の場合、300坪で約50kW、投資額約2000万円(利回り9~10%)と言われています。
グリーン投資減税による税制支援
概要 |
再生可能エネルギーの“固定価格買取制度の認定”を受けた太陽光発電設備(10kW以上)又は風力発電設備(1万kW以上)を取得し、その後1年以内に事業の用に供する場合 |
対象者 |
青色申告書を提出する個人又は法人 |
内容 |
以下のいずれか一方の税制優遇措置が受けられます ※平成25年4月1日~平成27年3月31日までは即時償却 (取得価額の100%全額一括償却)が可能 |
適用期間 |
平成25年4月1日~平成28年3月31日まで |
一部の事業者では、“即時償却”による節税効果をアピールし営業を推進しているケースが見受けられますが、“即時償却”が適用されるのは、個人の場合、太陽光発電による売電収入が事業所得として認められる場合であり、給与所得者でも「出力50kW以上、高圧接続なら事業所得になる」とも言われていますが、課税当局は正式には認めていません。実際に導入を検討する場合は、税理士や詳しい専門家又は所轄の税務署に確認する事をお勧めします。
国税庁ホームページの質疑応答事例に以下の場合についての回答要旨が掲載されています。
自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入 |
賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入 |
自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入 |
前回は、小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)による都心収益不動産購入による相続税評価の減額(→相続税の減額)のしくみを中心に書きました。
注意点としては、小規模宅地等の特例が税制改正により改正され、減額割合が縮小された場合、当然効果は少なくなりますが、現状ではそう言う話は聞こえてきていません。これまでの推移を見ても不動産貸付の場合のみ減額割合が縮小される可能性は少ないのではないかと考えています。
前回説明(図解)では、路線価は時価(公示価格)の80%と言う前提で計算していますので、1/3程度への評価圧縮となっていますが、都心部(好立地エリア)では、時価と公示価格との乖離が大きい為、当然路線価(相続税評価)との乖離も大きくなる為、実際には小規模宅地等の特例適用後で相続税評価額が4/1やそれ以上の圧縮になる事もよくあります。とにかく相続税の節税効果は絶大で、その効果については疑う余地はありませんが、大きな効果を得る為にはその効果の数倍もの価格(高額)な収益不動産を購入する必要がある為、当然いくつかの注意点があります。
最も多くの失敗(落とし穴)は、やはり物件の選別(物件選び)です。相続税が少なくなって相続を楽に乗り切れたとしても、相続後に収益不動産の収支が悪くなって、キャッシュフローが回らずその収益不動産を売却しようとしたら大きく値下がり(または売れなかった)し借入が返済できず破綻と言う事もあります。
そんな事にはならないと思っていても、相続税の節税効果を大きくアピールされ不動産会社などから物件(収益不動産)の良い点ばかり説明され(時には早く決断をしなければ買い逃すと判断を急がされ)続けている内に落とし穴にはまって行く(物件選びに失敗)事が良くあります。
数億円規模の収益不動産の購入は、数億円で事業を始めるのと同じです。ましてや多額の借入で収益不動産を購入する場合、本当に注意しなければいけません。
今の市況では、都心部の良質な収益不動産を全額借入で購入しても収支が合いません。超一等地でもないそこそこの場所でも築20年の物件が5%台で売りに出ています。実際は6%台と言ったところでしょうか?少し前までは、築20年で7%でも高いと感じていましたが、物件不足と将来的な先高感より都心の収益不動産の利回りは低下しています。
今は、本当に収益不動産を購入するには非常に難しい市況です。本当に良い物件は特に動きが早く、あっという間に売れていまいます。それだけに短期間で正確な判断が求められます。
本当に信頼のおける収益不動産のプロ(仲介の立場でない人間がベスト)が側にいると心強いですが、他人任せにせずご自身でも重要なポイントをチェックが出来れば、物件選別で大きな失敗をする確立は大きく減少します。
次回は、物件選びのポイント、収益不動産購入の落とし穴について具体的にまとめてみたいと思います。