高田吉孝のブログ

相続税増税で拍車がかかる不動産を使った相続対策の注意点について(第一回目前編)

今月より、日本不動産仲裁機構の母体である特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラム連載(月1回)を担当する事になったので、同じ記事を当ブログにも掲載していきます。

以下本文です。

本コラムでは、最近『相続税の増税対策』が恰好のセールストークとなっている“土地の有効活用”“収益物件の購入”をはじめとした“不動産を使った相続税対策”の注意点などについて書かせていただこうと思っています。

第一回目の今回は、その相続税の増税「平成25年度税制改正」内容についてです。


平成25年度税制改正(大綱)における相続税関係の主な改正点
 
○相続税の税率構造の変更(最高税率の引き上げ)   
                    ※平成27年1月1日以降の相続に適用
 相続財産(相続人1人当たり)
              6億円超は50%→55%へUP
              3億円超は50% で変わらず

              2億円超は40%→45%へUP

              2億円以下は   変わらず

 図1

○相続税の基礎控除を40%縮小

 現行の  5000万円+1000万円×法定相続人数 から
 改正後は、3000万円+ 600万円×法定相続人数 となります。

 但し、未成年者控除と障害者控除については、控除額が引き上げられます

 □未成年者控除

 現行「20歳になるまでの1年につき6万円」 

 ⇒改正後「20歳になるまでの1年につき10万円」

 
 □障害者控除
  現行「85歳になるまでの1年につき6万円※」
  ⇒改正後「85歳になるまでの1年につき10万円※」
  ※特別障害者(障害者1・2級)の場合には12万円(改正後20万円)
 
今回の相続税の増税により実際どのくらい相続税額が増えるかをまとめたものが以下の表です。
(お父さんが財産を所有していて、相続人がお母さんと子供2人(相続人3人)の場合で、お父さんが亡くなった場合の相続税(一次相続税)の試算です。

図2

たとえば、相続税の課税価格(財産の評価額合計)が3億円の場合の相続税の計算ですが、現行法では、基礎控除が8000万円(5000万円+3000万円)となりますので、基礎控除を引いた金額2億2000万円を法定相続割合で取得したものとして計算します。(下記相続税の計算方法を参照)。

相続税の総額は4600万円となりますが、配偶者は法定相続分(1/2)までは相続税がかから為、実際の相続税の額は2300万円(上記表の金額)となります。

 
(相続税の計算方法)

 3億円(課税価格)−8000万円(基礎控除)
                 =2億2000万円(相続税の計算対象額)

 これを法定相続分毎に下記速算表を使って相続税を計算してみますと。

 (相続税の総額の計算)
図3
母(1/2)分 = 

1億1000万円×40%−1700万円(控除額)=2700万円

子(1/4)分 =   

5500万円×30%− 700万円(控除額)= 950万円

子(1/4)分 =   

5500万円×30%− 700万円(控除額)= 950万円

                 相続税の総額   4600万円

となり、本来の相続税額は4600万円となります。
そして、その相続税額を実際に財産を取得した比率で案分して各人の相続税額を算出します。


実際にそれぞれが法定相続分通りで取得した場合、
(各人の相続税の計算)
母1/2 × 4600万円 = 2300万円
子1/4 × 4600万円 = 1150万円
子1/4 × 4600万円 = 1150万円 

となりますが、母は財産の半分1/2までは相続税がかかりませんので、相続税額は子2人分の(1150万円×2人=)2300万円となります。


(ブログの文字数制限のため)後編へつづく


Posted by funaizc at 2013年03月10日

相続税増税で拍車がかかる不動産を使った相続対策の注意点について(第1回目後編)

これに対し、税制改正後の税率と基礎控除で同様に計算した場合以下のようになります。

3億円(課税価格)−4800万円(基礎控除)2億5200万円(相続税の計算対象額)

これを法定相続分毎に相続税を計算します。

(相続税の総額の計算)

母(1/2)分 = 

   1億2600万円×40%−1700万円(控除額)=3340万円

子(1/4)分 =   

     6300万円×30%− 700万円(控除額)=1190万円

子(1/4)分 =   

     6300万円×30%− 700万円(控除額)=1190万円

                   相続税の総額   5720万円

となり、本来の相続税額は5720万円となります。

その相続税額を実際に財産を取得した比率で案分して各人の相続税額を算出します。

実際にそれぞれが法定相続分通りで取得した場合、

(各人の相続税の計算)

母1/2 × 5720万円 = 2860万円

子1/4 × 5720万円 = 1430万円

子1/4 × 5720万円 = 1430万円 

となりますが、母は財産の半分1/2までは相続税がかかりませんので、相続税額は子2人分の(1430万円×2人=)2860万円となります。

課税財産が3億円の場合の相続税額は、現行法では   2300万円

                  税制改正後では 2860万円 


その差560万円の増税と言う事になります。

○小規模宅地等の特例の見直し

相続税の税率構造の見直しと基礎控除の引き上げにより、都心部(地価の高い場所)に自宅を持つ人が不利にならないように、個人が住居に使っていた土地にかかる相続税の減税対象(80%減)となる面積の上限が従来の240屬ら330屬飽き上げられました。

図4


その他、老人ホームの終身利用権を取得している場合に、もともと住んでいた自宅の敷地については、改正前は適用不可でしたが、改正後は_雜遒必要なため老人ホームに入所したもので、貸付用となっていない場合には、特例の適用が認められる事になりました。

 今回の増税については、税率構造の見直しより、基礎控除の縮小の影響の方が大きいと思います。

上記計算(課税財産3億円の一次相続(配偶者+子二人)の場合)では、実際に税率構造の見直しの影響はなく、基礎控除の縮小の影響で、560万円の増税となります。

財産の評価額が3億円の人にとって、560万円の税負担が“大増税”と言えるかどうかは疑問ですが、世間では、“大増税”をうたい文句に節税の為の賃貸住宅の建築などを勧めるセミナーなどがブームとなっています。

どちらかと言うと、金額的には大きくなくても、これまで相続税がかからなかった人達への負担感の方が大きいのかもしれません。そう言う方達へも、相続税の節税対策を理由に賃貸併用住宅の提案なども盛んに行われているようです。

今後も相続税については、序々に増税方向になるのは間違いないと思いますが、あまりに過度に心配しすぎて、賃貸併用賃貸住宅を全額借入で建築するのは、その後のキャシュフローを考えるとリスクが高い場合が多いです。

第二回目からは、“土地の有効活用”や“収益物件の購入”をはじめとした“不動産を使った相続税対策”の注意点などについて、書いていきたいと思います。

本内容は、日本住宅性能検査協会のコラムに寄稿したものです。


Posted by funaizc at 2013年03月10日

不動産を使った相続対策の注意点について(第2回目)

第1回目では、最近『相続税の増税対策』が恰好のセールストークとなっている“土地の有効活用”“収益物件の購入”をはじめとした“不動産を使った相続税対策”の注意点の解説の前に、相続税の税率構造の変更(最高税率の引き上げ)などの平成25年度税制改正内容の一部を解説させていただきました。

その平成25年度税制改正の関連法案ですが、3月29日の参院本会議で可決され、同法が成立しました。


世間では、相続税増税対策セミナーなどと銘打って、あちらこちらでセミナーが開催されています。

その多くは、自社の商品をPRする為のものです。主催する会社によって、最終的に勧めたい(提案したい・・売り込みたい・・)商品は違いますが、基本的には見込み顧客を集客する為のセミナーです。

私自身もセミナーを主催する事がありますので、その手法そのものを否定するつもりはありませんが、まずは主催者の狙いを理解した上で参加する事が基本です。

相続対策の代表格と言えば、土地所有者(主に地主さん)向けへの賃貸住宅(アパート・マンション)の建築提案です。

この手法は、今も昔も変わりません。確かに、相続税の節税効果は大きいです。

その仕組みを具体例で説明しますと、こうなります。

建築相続税効果



この図は、250坪(時価2.5億円(100万円/坪)、相続税評価額2億円(80万円/坪))の土地に延床面積200坪のマンションを総事業費1億6000万円で建築した場合の相続税の節税効果をまとめたものです。

なお、わかりやすくする為、及び多くのセミナーでは、効果を大きく見せる為、相続税率を50%で計算していますが、実際に実効税率で50%になる場合は、相当な課税資産額(相続人1人当たりの課税財産が3億円を超えた部分から50%)の場合だけです。

ここでは、駐車場のままだと2億円の相続税評価額に対し50%の相続税がかかるため相続税の額が1億円になります。

※2億円×50%=1億円(もとの相続税額)

対して、この土地にマンションを建築すると、建物の評価額は6000万円になるとしています。

その理由は、建物の固定資産税評価額が総事業費の0.5〜0.6倍程度となり

更に、他人に貸す為、貸家の評価となり更に0.7倍となる為です。

※1億6000万円×0.54×0.7=6000万円(建物の評価額)

現在のように建築費が高騰している場合は、総事業費(建築費)が大きくなるので、もっと評価が下がると思われます。

そして、土地は、貸家建付地となり、借地権割合が0.6の地域の場合、

※2億円×0.82=1億6400万円(土地の評価額)となります。

土地建物合計すると6000万円+1億6400万円=2億2400万円となり、総事業費を全額借入金とした場合マイナス1億6000万円の評価となりますので、

※2億2400万円−1億6000万円=6400万円(建築後評価額)

6400万円の相続税評価額となります。そこに50%の相続税がかかる為、

  ※6400万円×50%=3200万円(建築後の相続税額)

となります。

よく借金をすれば相続財産が減ると勘違いされる方がいますが、1億円の借金をして、手元にその現金1億円があれば、プラマイゼロなので、借金で相続財産が減るのではありません。

あくまでも、土地・建物の評価が下がる事により全体の評価が下がる為です。

ここでは、総事業費としての借金、マイナス1億6000万円に対して、

建物の評価が、プラス6000万円であり、そこでの評価減が1億円となり、

そこに、土地の評価減がマイナス3600万円加わり、


全体としての相続税評価額が、マイナス1億3600万円となった為、

もともとの土地2億円の相続税評価額が、マンションを建築する事により全体で6400万円の評価額になったのです。

このように、賃貸マンションやアパートを建築する事は相続財産の評価を下げる為には、非常に有効な手段であり、ここ数十年も節税対策の代表格となっていました。

その多くの提案は、全額借入金で建築をするパターンとなっています。過去のように人口が増加し、住宅が不足していた時代は良かったかもしれません。

既に人口が減少する時代に突入し、家が余っている現状では、家賃の低下や空室の増加で、相続税は下がったが残された家族が借入金の返済に苦しむといった事態も起こっています。

次回は、その辺の問題点について事例を交えて具体的に解説したと思います。 


Posted by funaizc at 2013年04月11日

第3回不動産を使った相続対策の注意点“「サービス付き高齢者向け住宅」の有効活用編”

(NPO法人日本住宅性能検査協会コラム掲載のものを転載)


今回も前回に引き続き、「サービス付き高齢者向け住宅」の有効活用の注意点について書かせていただきます。

 前回のコラムは、私がセミナーやブログなどで情報発信している内容の中から、422日発売の週刊ダイヤモンド4/275/4合併号のP68P69で取り上げられた点『土地活用でサ高住提案が急増、建築会社の甘い試算は要注意』“すさんな予測収支にだまされるな”の部分を中心に書きました。

ブログ用グループ化

 
第二回目のコラムにも書きましたが不動産を使った相続対策提案の代表格と言えば、土地所有者(主に地主さん)向けへの賃貸住宅(アパート・マンション)の建築提案です。


ところが、最近は空室や家賃下落により、立地条件(交通の便等)の良くないエリアでは、地主さんもアパート・マンションの建築には慎重になっている方も増えてきました。


少し話は変わりますが、現在、不動産仲裁機構に寄せられる“サブリース問題”の相談も、やはり立地条件の良くないエリアの方からの相談の方が深刻(大幅な家賃減額で借入返済が困難になるケース)です。

 問題となっている会社は、30年間一括で借り上げ、家賃保証をするという安心感を売りに立地条件の良くない場所にどんどんアパートを建て、いざ会社の業績が悪くなると一方的にサブリース契約を解除したり大幅な家賃減額や新たな費用負担などをオーナーに要求し、大きな問題となっています。415日の衆議院予算委員会でも取り上げられました(詳しくは大谷理事長のコラムを参照下さい)。


最近は、車の台数も減り駐車場も空きが増えています。地主さんとしては、固定資産税の負担や将来の相続税の負担をなんとかしたいと思いますが、駐車場へのアパート・マンションの建築も将来の不安が残ります。何か良い“有効活用”方法がないかと考えているところへ


高齢化社会への対応(世の中のニーズ)&国の補助金と優遇税制があって、更に家賃保証(サブリース)も有り安心なのが、『サービス付き高齢者向け住宅』の有効活用です。と言う提案が増えています。


やはり相続対策にもなると言う事で、そのほとんどが全額借入での提案です。

賃貸マンション・アパートの建築には慎重になった地主さんも、老人ホームのようなものならこれからの高齢化社会でも安心だと考え安易に建築しています。


サービス付き高齢者向け住宅の有効活用の最大の注意点については、前回のコラムにも書きましたが、「サービス付き高齢者向け住宅」の有効活用における最大のリスクは、“運営事業者(介護事業者)”次第でその有効活用の運命が決まる点です。


 「サービス付き高齢者向け住宅」は“老人ホーム”と違い、あくまでも住宅で有り、介護報酬による収益構造が弱い為、運営事業者は上手な運営をしないと住宅のサブリース収益頼みになってしまいます。
 しかし現在提案されている「サービス付き高齢者向け住宅」は、建築会社などによるハード(建物)先行の提案が多く、また運営事業者も新規参入のケースも目立ち長期的な事業として考えるには、不安要素が多いと考えています。


 「サービス付き高齢者向け住宅」はまだまだ供給が増え続けます。まやかしの補助金や優遇税制も地主さんの有効活用心(こころ)を後押しし供給過剰になるまで建築されるでしょう。

 既に、「サービス付き高齢者向け住宅」の優勝劣敗は出始めています。集客力と運営に優れている事業者もあり、稼働率の高いところがある反面、集客がうまくいかず、スタッフやサービスが不十分で運営が困難になっているところもあります。


 そこで、“サブリース問題”がここでも出てきます。いくら“家賃保証”が約束されていても、運営が成り立たなくなると、最悪は撤退、いきなり撤退まではならなくとも、まずは“家賃の値下げ”です。これから「サービス付き高齢者向け住宅」供給が増え、競争が激しくなると、間違いなくこの問題が起こります。

 

 相続対策と称して、全額借入で安易に「サービス付き高齢者向け住宅」を建築すると、大失敗となってしまう可能性が高いです。冒頭の週刊ダイヤモンドの抜粋記事に“地主が気をつけるべき点”を良く理解して下さい。

そして根本的な注意点は、サービス付き高齢者向け住宅(賃貸住宅)と介護付き有料老人ホーム(介護施設)の違いを良く理解していない事からくる漠然とした安心感(老人ホームのようなものだから、これからの高齢化社会の有効活用として安心だと思っている点)ですので、以下に「老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」の違いに関する事項をまとめておきます。


介護施設と高齢者向け住宅


高齢者のための住まいには、「介護施設」と「高齢者向け住宅」があり、厳密に言うと「施設」と「住宅」はそのカテゴリーは別々のものですが、実情はかなりややこしい区別なので、よく混同されて表現されます。


「サービス付き高齢者向け住宅」の事を介護施設と呼ぶ人がいますがそれは間違いであり、あくまでも、「サービス付き高齢者向け住宅」は住宅なのです。細かい事と思われるかもしれませんが、この違いが非常に大事なのです。


 「サービス付き高齢者向け住宅」と「介護付き有料老人ホーム」がわかっていない人が多いなか、『介護土地活用セミナー』や『介護賃貸』と称して、「サービス付き高齢者向け住宅」の建築を勧めている人達もいる為、聞いている方は、介護施設と高齢者向け住宅の違いがわからなくて当然です。


住宅と施設の区分が整理された表がありましたので、転載します。

まず、上記の名称で呼ばれているものは、住宅であり、介護サービスは外部のサービスを利用します。

高齢者の住まい(住宅)


 そして、施設は下記の通り、特別養護老人ホームを代表とする介護保険施設とその他の施設があります。


 住宅との違いが、外部の介護サービスを使うかどうかであれば、わかり易いのですが、実際には施設の中にも外部の介護サービスを利用するものもあり、特に有料老人ホームには、介護付きと住宅型と健康型が有り話をややこしくしているように思います。


高齢者の住まい(施設)

 

サービス付き高齢者向け住宅は、あくまでも賃貸住宅であり、必須となっているサービスは「安否確認」と「生活相談」だけです。それもあくまで日中のこと「24時間緊急対応があるとはいっても、スタッフが常駐しているところは少数であり、夜間は外部の警備会社と契約しているだけのところが多いのが実情であり、介護付き有料老人ホームとは大きく異なります。


また、入居者が必要な介護サービスを外部の介護保険事業所のサービスを利用する為、介護付き有料老人ホームと比べ、サービスのバラツキがかなり大きい為、評判の良いサービス付き高齢者向け住宅とそうでないサービス付き高齢者向け住宅の区分けが明確になり、サービスの質で入居者を集められないサービス付き高齢者向け住宅は、家賃を安くしていかざるを得ません。

「サービス付き高齢者向け住宅」はサービスの質のバラツキが大きい!



バラツキが大きい


 
 一般のアパート・マンションと違い、運営事業者の良し悪しがその有効活用の運命を握っています。簡単にいうと“つぶしがきかない”建物ですので、最初の運営事業者選びが最も重要になります。

サ高住と老人ホーム違い(サービス)


「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」違い


老人ホーム違い


契約形態の違い


 サービス付き高齢者向け住宅では、住宅部分については建物賃貸借契約を結ぶとともに、生活支援サービスを提供する場合は、サービス利用契約を別途締結する。


一方、有料老人ホームの多くは利用権方式を採用している。

これは、入居の際に一時金を支払うことで、終身にわたり居室と共用施設を利用する権利と、介護や生活支援サービスを受ける権利が保障されるという契約形態である。


サービス付き高齢者向け住宅では賃貸借契約を結ぶことが前提とされていますが、これは利用権方式による契約と比較し、入居者の居住の権利を確保しやすいとみなされているためである。

一方有料老人ホーム(特定施設)は、住居もサービスも同一事業者によって包括的に提供される施設と捉えることができる。


適用法令と管轄省の違い

「有料老人ホーム」は、老人福祉法介護保険法に規定され、厚生労働省の管轄になる。

「有料老人ホーム」を設置をする際には、管轄である都道府県または政令指定都市が、有料老人ホーム設置運営指導指針を設けており、それに基づいて施設運営事業所は有料老人ホームの設計をしたり、人員を配置を行う。


 特に「介護付有料老人ホーム」の場合は、「介護サービス」について常時介護に対応できる職員の勤務体制を整えてなければならなかったり有資格者の最低人数などが細かく設定されており、これらの体制がきちんと整っていない状態で運営を続けていると、ペナルティが与えられる場合もある。

 このように「有料老人ホーム」では厳しい基準・監視下で運営されているので、将来、介護度が高くなった場合でも、引き続き専門のスタッフによって介護されるという安心感がある。

介護付き有料老人ホーム(特定施設)の収益構造


 有料老人ホーム(特定施設の指定のある介護付き有料老人ホーム)は、老人福祉法上と介護保険法に規定された施設で、介護保険法の中で規定された「特定施設入居者生活介護」サービスが受けられる

「特定施設入居者生活介護」は、特定の施設(具体的には、有料老人ホーム等)において、入居者が利用する介護保険サービスのことです。


介護事業者は、要介護度に応じて1日ごとに固定額の介護報酬を施設が請求できるので、施設はその日に提供した介護サービスの種類や提供量にかかわらず安定した収入が入る。

 利用者もどのようなサービスを受けても費用負担は一定額になるので、安心感してサービスを使える(施設が算定する介護報酬額の10%が利用者自己負担、90%が国保連からの支払いとなる)。


Posted by funaizc at 2013年06月09日

第4回 不動産を使った相続対策の注意点(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

前回は、地主さんへ提案が増えている“「サービス付き高齢者向け住宅」の有効活用の注意点について書きました。相続税対策として「サービス付き高齢者向け住宅」を建築するような方は、地主さんなど多くの土地(畑なども含む不動産)を所有している為、都市部の地主さんなら、課税資産総額が20億円以上と言った方は珍しくありません。


第一回目のコラムにも書きましたが、平成27年1日1日以降の相続発生より相続税の最高税率の引き上げ(税率構造の見直し)と基礎控除の引き下げが実施されます。


 課税資産が20億円で、家族構成は父・母・子2人の場合、父が亡くなった場合(一次相続)の相続税は、4億3440万円(現行税制より+2490万円)、母が50%相続し課税資産が10億円で母が亡くなった場合(二次相続)の相続税は、3億9500万円(現行税制より+2400万円)となります。

改正による相続税額への影響

単純計算ですが、課税資産20億円に対して、一次二次合わせると合計8億2940万円の相続税(現行税制より合計+4890万円)となり、トータルの税率(8億2940万円/20億円)は41.47%となり、何もしなければ財産の40%がなくなってしまいます。


 そう考えると、なんとか相続税の節税をしなければと考えてしまいます。また土地を持っている為、なんとか有効活用ができないかと考えているところへ、

「アパートやマンションを建てましょう。」「サービス付き高齢者向け住宅を建てましょう。」「相続税が大幅に節税できますよ」

という甘い言葉に惑わされて、安易に(建ててはいけない場所やサ高住の真のリスクに気づかずに)全額借入で建築を行い、相続税の節税には成功しても相続後に借入負担によるキャッシュフロー悪化により財産を減らしてしまっては何の為の相続税対策だったのか、やらない方が良かったという事になってしまいます。

 

その辺の事は、第1回目から3回目にも書きましたので、今回はもう少し課税資産の少ない方にターゲットを絞った話を書いてみます。


今回の税制改正の影響は、さきほどの20億の相続税の計算では、一次相続では+2490万円でした。4億3440万円を払う人にとって+2490万円(増加率5.7%)が、巷のセミナーで大げさにいう程、そんなに大増税でしょうか???もともと税負担が大きいので・・・


それより、基礎控除の引き下げにより今までは相続税がほとんどかからなかった人、例えば、現行税制では上記の家族構成で課税資産が8000万円までなら相続税は非課税でしたが、27年以降は175万円,課税資産が1億円の場合、現行税制での一次相続税は100万円だが27年以降は315万円となり、増加率では315%(約3倍)と言うことになります。


 そこで、そういう層の(相続税が心配で少し資金のある)高齢者の方向けに不動産会社などが、ワンルームマンション投資を勧めているケースが増えてきているようです。

 老後の年金の足しになり相続税対策にもなると言う事で、最近はセミナーも増えているようです。


サービス付き高齢者向け住宅活用の注意点の記事に続いて、ワンルームマンション投資の注意点について週刊ダイヤモンドさんから取材を受けました。

地主さんが相続対策でアパートを建てるのも同じ事ですが、借入が多すぎると後々家賃の下落や空室によりキャシュフローが悪くなり、投資回収ができなくなります(7月8日に発売となった週刊ダイヤモンド2013/7/13『狙われる老後のカネ』号p38p39に事例収支が掲載されていますが、本コラム公開時点では転載不可につき後日UPさせていただきたいと思います)。


 人気エリアの好立地の中古マンションを余裕のある自己資金購入するのであれば、相続税効果も取れ、収入も増加するので、それはそれで“有り”だと思います。物件選びさえ間違わなければ大きな失敗はしないでしょう。

 しかし、巷で行われているマンション投資セミナーの多くは、借入でどんどんワンルームマンションを買うように勧めますので本当に注意が必要です。借入を主体とした賃貸不動産経営はそんなに甘いものではないと言う事を肝に銘じて欲しいと思います。


Posted by funaizc at 2013年07月15日

第6回 不動産を使った相続対策の注意点「ほんとうに不動産を使った相続税対策が必要ですか?」(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

前回のコラムにも書きましたが、今回平成25年度税制改正(平成2711日以降の相続より適用)の相続税の増税は、基礎控除の引き下げにより、現在の税制では相続税がかかるかかからないか、かかっても僅かという財産規模の人達への影響が大きいと言えます。

 国としても、相続税の課税対象者を現状の4%程度から6%程度へ引き上げる事も目的なので、実際に相続税を払う人の数は確実に増える事になるでしょう。


 そういう背景から、巷では“相続税の増税”をうたい文句にしたセミナーが大ブームです。ハウスメーカー(建築会社)、不動産会社、マンション投資会社、保険会社、コンサル会社などが、こぞって“相続税対策”を強調しています。


713日号の週間ダイヤモンドに、最近またブーム?となっているワンルームマンション投資についての取材を受け、p38p39にマンション・アパート投資「ワンルームマンション活況も落とし穴が多い不動産投資」としてその内容が掲載されている事を前回のコラムでもご紹介させていただきましたが、先日、このダイヤモンドを読まれた方(一般読者のAさん)が私の会社に相談に来られました。


相続税が増税になることを心配され、ご自身の相続税の対策と資産運用として、中古ワンルームマンション投資を検討し、マンション業者から具体的に購入を勧められていたが、家賃下落や維持費の負担が心配で、色んなところに相談したが、的を射た見解が得られず悩んでいたところに、週間ダイヤモンドの私の記事を見たとの事で相談に来られました。


偶然にも、購入を検討していた中古ワンルームマンションは、記事でシミュレーションした物件と同じくらいの金額で、もう少し借り入れが多い資金計画でした。

p38上段

p38下段


物件の資料もご持参されたので、拝見しましたが、私が記事の事例で採用した物件よりも条件は良くありませんでした。


不動産の質を論じる(投資対象としても良いとは言えない物件でしたが)前に、結論は“Aさんは相続税対策の為にリスクを取ってまでマンション投資をする必要はない”と言う事で納得されました。


ご自身の相続税がいくらくらいかかるか正確にご存じですか?と、尋ねたところ、“正確には知らないが、基礎控除が下がるので、結構かかると思っている”との事だったので、相続税の速算表を用いて、課税資産が1億円の方で、一次相続税額が、現状の100万円から平成27年以降315万円になる事を説明させていただいたところ、予想外だった(本人はもっと多額の相続税がかかると思っていた)ようです。


 この方に限らず、今回の相続税の増税改正を受け、過剰に心配されている方は大勢います。先週は、この方以外にも自宅と50坪程度の駐車場をお持ちの方(Bさん)が、やはり1千万円以上の相続税がかかるのではないかと心配されていたので、試算したところやはり心配ない事がわかり安心された事例もありました。


 話は戻って、週刊ダイヤモンドを見て相談に来られたAさんは、実際の相続税額を知って、リスクをおかしてまで無理してマンション投資をする必要がない事を理解されました。


また別の日には、相続税が心配なので、古い家を壊し賃貸併用マンションを建てようと思っているが、自己資金は10%程度でも本当に大丈夫か心配で相談に来られた方もいました。


 『30年一括借り上げなら、家賃収入でローン返済をしながら悠々と暮らすことができます』と言う甘い言葉に惑わされていました。


路線価の高い都心部に自宅があるので、相続税対策を兼ね検討したいとの事でしたが、実際には、小規模宅地の評価減(改正で240330屬乏搬隋砲適用できる為、相続税の心配は不要(現金で十分払える金額)でした。


 相談者に共通して言える事は、相続税の心配と不動産賃貸経営(不動産収入(不労所得?))への憧れがあるように思います。


 借入中心で、家賃収入でローン返済をしながら悠々と暮らすことができるほど賃貸経営は甘くありません。全戸賃貸でも全額借入では将来的には厳しくなるのに、自宅部分は収入がなく利回りが低いので、将来的にキャッシュフローが回らなくなる可能性が大です。


なお、『30年一括借り上げ』を大々的に謳っておきながら、建物賃貸借契約書(サブリース契約)上は、3ヶ月前の解約予告が入っていましたので、将来家賃の値下げ交渉が決裂したら、3ヶ月で解約されてもしかたありません。結局は家賃を下げざるをえません。 

現実問題として家賃が下がっている事例は山ほどあります。悠々と暮らすどころか、大切な財産を無くす事にもなりかねません。


リスクを冒してまで、「ほんとうに不動産を使った相続税対策が必要かどうか」を良く考える必要があります。


Posted by funaizc at 2013年08月31日

第7回 不動産を使った相続対策の注意点「東京五輪開催決定で都心の収益不動産価格が更に上昇!」(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

 前回までは、土地の有効活用を中心に不動産を使った相続対策の注意点について書いてきました。今回からは、相続税対策で用いられる“収益不動産の購入”にまつわる内容を書いていきます。

 現在、簡単?に相続税を大きく下げる事ができるものは不動産しかないと言っても過言ではありません。代表的な借入によるアパート・マンションの建築もその手法の1つです。しかし最近は、空室の増加や家賃の下落により東京でも郊外、特に交通の便の不便な地域ほど賃貸経営も難しくなってきました。

 そんな中、根強い人気となっているのが都心部の収益不動産(1棟物の賃貸マンションや事務所ビル)です。

 都心部の収益不動産は、純粋に将来的にも安定した収益が見込める投資先(純粋な不動産投資)としての人気に加え、相続税が大きく下げられるメリットも有り優良な物件が慢性的な不足状態となっています。

 ここ10年くらいの東京の収益不動産価格の推移を見てみると、2007年に不動産ミニバブルのピークが有り、リーマンショック(2008年9月15日)後の約半年間(2009年3月)くらいまでが大底で、その後は堅調な需要に支えられ優良な収益物件の利回りは徐々に下がり続けています。

※グラフは、国土交通省が19日発表した2013年7月1日時点の基準地価の推移(参考まで)

2013基準地価推移

一時は、金融円滑化法の期限(2013年3月末)が切れると不良債権処理が始まるので売り物件が増えるとの見方もありましたが、金融庁から『金融機関の役割』として、「金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わりません。」との方針が発表された事も有り、ほとんど金融円滑化法終了の影響は出ませんでした。

 その後、44日に日銀、黒田新総裁による超金融緩和政策の発表も有り、アベノミクスへの期待感に拍車がかかり、不動産市況にとって強い追い風となりました。そして記憶にも新しいですが9月8日(日本時間)に東京での五輪開催が決定した事も更に東京都心部の不動産価格上昇(注※但し2020年前まで)につながると思います。


 さて、話を元に戻しまして、そもそもなぜ?相続税対策に都心部の収益不動産が有効なのかと言いますと、時価(不動産価格)に対して相続税評価額が低く、更に相続税法上の特例である『小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)』により、200屬泙任療效呂砲弔い討蓮50%の評価となる為、一般的に時価(不動産価格)に対して、相続税評価額は約三分の一(場合によっては四分の一)程度になると言われています(実際その通りです)。

 その仕組みを図(概略例)を使って解説しますと

小規模宅地の評価減

 まず、現金7億円で都心部の収益不動産(建物価格2億円、土地(200屐鵬然複飢円)1棟を購入した場合の相続税評価額ですが、
 

前提条件


建物については時価の2億円が、図にあるように相続税評価額は、固定資産税評価となり約50%から60%となり更に貸家の評価で70%となる為、8400万円となります。

土地については時価=公示価格として、時価の5億円が路線価評価で80%となり、更に貸家建付地評価でその82%(一般的な借地権割合60%地域の場合)となり、土地時価5億円が相続税評価額で、3億2800万円となります。

そして、最後に小規模宅地等の評価減(被相続人等の貸付事業用の宅地等の評価減)で50%となり、最終的に1億6400万円の評価額となり、相続税評価額の建物と土地の合計額は、2億4800万円(8400万円(建物)+1億6400万円(土地)=2億4800万円)となります。

現金の評価額7億円(現金の相続税評価は7億円のまま)が2億4800万円と約三分の一となり、評価減(マイナス)額は4億5200万円となります。

実際には、購入諸経費負担等や土地の不整形による減額、時価と公示価格の乖離(都心部では時価と公示価格の乖離が大きい所が多い)、によりもっと多くの評価減が取れます(公示価格が時価に追いつかない為、不動産価格が上昇するほど評価減は大きくなります)。

相続税の計算をする上では、自宅の評価減(現行240屬泙80%減)が使えなくなりますので、単純に上記評価減額(4億5200万円)が全て減額とはなりませんが、一般的には自宅の土地の評価額の方が安いのでその効果は絶大です。

図の事例のように、自宅の敷地の路線価を20万円/屬箸靴疹豺隋⊆宅での小規模宅地の評価減は3800万円しかとれませんので、実際に相続税評価が下がるのは4億1400万円(4億5200万円−3800万円)となります。

なので、相続税率が50%の方の場合、評価減額の50%の相続税が安くなる事になりますのでこの事例では、7億円の収益不動産を購入する事により相続税が、なんと2億700万円も相続税が安く(節税できる事)なります。


 現金で購入しても借入で購入しても、当然評価減の効果は変わりませんが、いくら相続税が大幅になるからと言って、購入後の不動産収支がマイナスでは後々大変な事になってしまいます。借入による相続税対策の注意点はこれまでも書いてきました。


 次回は、都心収益不動産による相続税対策の注意点について詳しく書いていきたいと思います。


Posted by funaizc at 2013年10月13日

第8回 不動産を使った相続対策の注意点「都心収益不動産による相続税対策の注意点について」(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

 前回は、小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)による都心収益不動産購入による相続税評価の減額(→相続税の減額)のしくみを中心に書きました。

 注意点としては、小規模宅地等の特例が税制改正により改正され、減額割合が縮小された場合、当然効果は少なくなりますが、現状ではそう言う話は聞こえてきていません。これまでの推移を見ても不動産貸付の場合のみ減額割合が縮小される可能性は少ないのではないかと考えています。
 

小規模宅地等の課税の特例推移2

 それでは、今回は都心の収益不動産購入の注意点について書いて行きたいと思います


 前回説明(図解)では、路線価は時価(公示価格)の80%と言う前提で計算していますので、1/3程度への評価圧縮となっていますが、都心部(好立地エリア)では、時価と公示価格との乖離が大きい為、当然路線価(相続税評価)との乖離も大きくなる為、実際には小規模宅地等の特例適用後で相続税評価額が4/1やそれ以上の圧縮になる事もよくあります。とにかく相続税の節税効果は絶大で、その効果については疑う余地はありませんが、大きな効果を得る為にはその効果の数倍もの価格(高額)な収益不動産を購入する必要がある為、当然いくつかの注意点があります。


 最も多くの失敗(落とし穴)は、やはり物件の選別(物件選び)です。相続税が少なくなって相続を楽に乗り切れたとしても、相続後に収益不動産の収支が悪くなって、キャッシュフローが回らずその収益不動産を売却しようとしたら大きく値下がり(または売れなかった)し借入が返済できず破綻と言う事もあります。


 そんな事にはならないと思っていても、相続税の節税効果を大きくアピールされ不動産会社などから物件(収益不動産)の良い点ばかり説明され(時には早く決断をしなければ買い逃すと判断を急がされ)続けている内に落とし穴にはまって行く(物件選びに失敗)事が良くあります。

 数億円規模の収益不動産の購入は、数億円で事業を始めるのと同じです。ましてや多額の借入で収益不動産を購入する場合、本当に注意しなければいけません。

 今の市況では、都心部の良質な収益不動産を全額借入で購入しても収支が合いません。超一等地でもないそこそこの場所でも築20年の物件が5%台で売りに出ています。実際は6%台と言ったところでしょうか?少し前までは、築20年で7%でも高いと感じていましたが、物件不足と将来的な先高感より都心の収益不動産の利回りは低下しています。


 今は、本当に収益不動産を購入するには非常に難しい市況です。本当に良い物件は特に動きが早く、あっという間に売れていまいます。それだけに短期間で正確な判断が求められます。

 本当に信頼のおける収益不動産のプロ(仲介の立場でない人間がベスト)が側にいると心強いですが、他人任せにせずご自身でも重要なポイントをチェックが出来れば、物件選別で大きな失敗をする確立は大きく減少します。
 

次回は、物件選びのポイント、収益不動産購入の落とし穴について具体的にまとめてみたいと思います。 


Posted by funaizc at 2013年11月16日

第9回 都心収益不動産による相続税対策の注意点『収益不動産購入の落とし穴』について(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

 前回のコラムでは、都心収益不動産を購入し小規模宅地の評価減効果を有効に活用する事による相続税評価額(相続税額)の圧縮効果は絶大であるが、その大きな効果を得る為にはその効果の数倍もの価格(高額)の収益不動産を購入する必要がある為、当然いくつかの注意点、落とし穴があり、最も多くの失敗(落とし穴)は、やはり物件の選別(物件選び)だと書きました。
 
 過大な借入により相続税が少なくなって相続を楽に乗り切れたとしても、相続後に収益不動産の収支が悪くなって、キャッシュフローが回らなくなってしまっては元も子もありません。その収益不動産を売却しても借入の返済ができず債務超過になってしまうような相続税対策などやらないほうが良いでしょう。
 
 多くの失敗は、相続税対策(相続税を減らす事ができる)という目的の為に、不動産投資では最も注意するべき“物件選び”と“資金計画”が提案者任せになり、おろそかになっている事から起こります。
 
 自己資金で収益不動産を購入するのであれば、物件選びが多少不十分であっても他の財産まで全て無くしてしまうような致命的な失敗になることはないでしょう。失敗しても資産価値の目減り(売却時の不動産価格下落)で留まり、借金返済の為に自宅まで売却しなければならなくなり破綻してしまうという事はありません。
 
 ところが、相続税対策で収益不動産を購入する場合、多くの場合借入金が中心の資金計画となっています。まだ“借金=相続対策”と思っている方が多いのでしょう。
 自己資金で購入する場合と違い、借入金中心の資金計画で収益不動産を購入する場合は、リスクが高いにもかかわらず“相続対策”という事で、その効果ばかりに関心が行き、本来最も重要な“物件選び”が他人(提案者)任せになっているケースを多く見かけます。
 
 物件選びで、最も注意しなければならいのが、中長期的に安定した収支(キャッシュフロー)である事であり、想定の収入や現況の収入をベースに計画してはいけません。現時点の家賃相場を良く調べ、将来的な値下がりと空室率も考慮するようにしましょう。
 
 収入面だけでなく、支出面でも将来的な維持コスト(リフォーム費用や大規模修繕費用)が低く見積もられているケースが多いので注意が必要です。
 
○甘すぎる収入見込み
・満室想定収入(想定家賃)は信用せず、現状の家賃相場を確認する。
・現況家賃が高い場合、入居者入れ替わると家賃が下がる
・稼働率100%、家賃下落なしは楽観的すぎる。
・基本的に家賃は下落するものと考える。
 
○維持コストを少なく見積もっている、または見ていない。
・収支計画に日々のリフォームコストや大規模修繕の費用が含まれていない。
収益不動産購入の落とし穴

 収益不動産を購入する場合には収支計画だけでなく、建物そのもののチェック(構造、修繕履歴、遵法性)や土地についての調査、事務所ビルの場合、テナントの信用調査も必要であり、また多額の保証金を預かっている場合、購入後すぐにテナントに出られると保証金の返還と空室で資金が回らなくなったりする事がありますので、そういう事態も想定した資金計画にする必要があります。

Posted by funaizc at 2013年12月28日

不動産投信 地方へ3割(4月10日日経新聞記事)を読んで思うこと・・・

今日(4月10日)の日経新聞朝刊に『不動産投信地方へ3割、13年度末 保有物件最高に』と言う記事が載っていました。
 
 都心部に集中していた不動産投資マネーが地方に向かっており、SMBC日興証券の調査をもとに推計すると、不動産投資信託(REIT)の保有不動産は合計で11兆5千億円(2013年3月末)で、このうち東京23区、大阪、名古屋の「三大都市圏」を除いた地方物件は約4兆円と34%を占め、金融危機以降で最高となり前年度比の伸び率でも三大都市圏の12%増に対し、地方は28%増と大きく上回ったとの事です。

 やはり2007〜2008頃がピークとなったいわゆる不動産ミニバブルの最初の頃もそうでした。まず都心部の物件が上昇してその後地方の物件も上昇しました。

 個人的な感覚的にも公示地価や路線価の水準、上昇率で見るとまだまだバブルというほどではありませんが、都心部の収益不動産の利回り水準(物件価格)に限って言えば既にミニバブル期に匹敵しているように感じています。

参考までに、前回のブログで使った公示地価のグラフに、日本一高い公示地価の銀座四丁目の山野楽器本店前のグラフを追加してみます。
 
公示地価の推移(平成26年まで)銀座追加

 公示地価は実勢価格よりも1年程度遅れますので、今年の公示価格と前回公示地価のピークの1年前(平成19年)を比べると確かに近い価格になりますので、今後の動き次第ではピーク価格に近付く(上回る)可能性もありますが、上昇カーブがミニバブルに比べると緩やかなので、ミニバブル時の地価の動きとは異なっています。

 都心部の優良な収益物件については、低金利による金余りや相続対策としての需要も根強いものがあり、ミニバブルが崩壊してからも慢性的な物件不足が続いています。リーマンショック後のほんの一時期だけ投げ売りのような時期がありましたが長く続かず、常に多くの需要がありました。

そこに、アベノミクスによる大幅な金融緩和により景況感が改善し、インフレ期待からも更に不動産に資金が向かい、そこに建築費の高騰が加わり中古物件に割安感が出ている為、都心部の収益物件の価格はミニバブル期並みまたはそれ以上に高騰し利回りは低下しているように思います。

 つづく

Posted by funaizc at 2014年04月10日

事業用資産の買い換え特例にどこまでこだわるべきか・・・・

 相続対策としての根強い需要だけでなく、アベノミクスによる景況感の改善とインフレ期待、低金利による金余りなどの影響などの追い風も受け、1棟の収益不動産(特に好立地の物件)については、常に需要(買い需要)が供給(売り物件数)を上回っており、慢性的な物件不足の状況が続いています。
 
 建築費の高騰が更に中古物件の割安感につながり、中古の物件(収益不動産)価格が高騰し利回りが低下している状況であることは過去のブログでも何回か触れさせていただきました。

 最近の相談では、事業用資産の買い換え特例を使って、1棟の収益物件を購入したい(昨年駐車場(土地)を売却したので、今年中に買い換え特例の適用を受けられる収益不動産を購入したい)と言う方が数人いました。

 平成24年度の税制改正により、買換え資産の土地等の範囲に面積が300岼幣紊箸い条件が追加されましたので、物件(1棟の収益不動産)探しが更に難しい状況となっています。
 
ただでさえ、良い物件(1棟の収益不動産)不足の状況下において、好立地エリア(都心近郊)で土地の面積が300岼幣紊△詢匹な件を探すのは容易ではありません。

 例えば、相続で取得した土地(駐車場)を4億円で売却した場合の譲渡税(計算を簡素化する為に復興税は除いて計算)がいくらになるか計算すると

   取得費  = 4億円×5% = 2000万円 *相続等で取得した場合
   譲渡経費 = 1500万円(仲介手数料、測量費等)             とすると

   譲渡税 = 4億円−3500万円 × 20% = 7300万円

となり、大きな金額となり、売却後の手残りは 3億1200万円となります。

 そこで、事業用資産の買い換え特例を使って4億円の収益不動産を購入すると

   譲渡税 = 8000万円−700万円 × 20% = 1460万円

となり、譲渡税が減り、売却後の手残りは 3億7040万円となります。

 当然ながら、譲渡税の差の分売却後の手残りが増えます。この例では、5840万円の差となりますのでかなりの大きな額となり、なんとか買換え特例を使いたくなる気持ちはわかります。

 そこで、300岼幣紊療效呂諒件(収益不動産)を探す事になります。

しかしなかなか納得のいく物件が見つかりません。そうなると物件選びに多少目をつぶって、妥協してでも300岼幣紊諒件を購入しようとなります。

 それが陥りやすい失敗の代表パターンです。最近その傾向の相談事例が数件有りました。

物件を勧める立場の人間(仲介業者等)は、買換え特例のメリットを強調し契約成立を促します。

 私は、買換え特例にこだわり、物件の質(レベル)を落としてまで、300屬砲海世錣詆要はないとの考えを持っていますので、その辺の理由も含め、次回から数回にわたり事業用資産の買い換え特例をテーマに記事を書いてみたいと思います。

Posted by funaizc at 2014年05月17日

事業用資産の買い換え特例にどこまでこだわるべきか・・・・vol.2

 前回に続き、今週も事業用資産の買い換え特例の関係のお話です。


平成24年度の税制改正により、買換え資産の土地等の範囲に面積が300屐複坑亜ィ沓議據飽幣紊箸い条件が追加されましたので、相続対策の為に土地(駐車場、畑)などを売って、都心部の収益不動産購入する、いわゆる『不動産の組み換え』には使い勝手が悪くなりました。理由は、都心部(路線価の高いエリア)で土地が90坪以上の収益不動産となると物件価格がかなりの額となってしまうからです。

 事業用資産の買い換え特例は時限立法です(現在は平成26年12月31日の譲渡まで)。時限立法とは言うものの、これまでは毎回延長となりました。いつも今回は延長されないのでは?などとうわさされながら延長され続けてきました。平成24年度の改正の時も「今度こそ延長されない」のではといううわさを聞きました。結果は、300岼幣紊噺世条件が付き(9号買い換え)延長となりました。

 今回も延長しない(終了となる)のではないかとの説もあります?がさて、どうなるでしょう?


 『年内で買い替え特例が終わる可能性が高いので、年内に売却しましょう』
と、土地等の売却(不動産の組み換え)を勧めるセールストークにも要注意です。

 と言う事で、事業用資産の買い換え特例のメリットとデメリットについて、具体例を交えながら説明していきたいと思います。

 話と計算を簡単にする為に、まずは5億円の土地を売却して5億円の収益物件(土地2.5億円、建物2.5億円)を購入した場合の例で説明します。

 ※土地の取得費は5%、譲渡経費は2000万円とします
 ※復興特別所得税は考慮しない


 最大のメリットは、80%について課税が繰り延べされますので、上記の例の場合、土地を売却した時点では、譲渡税は4%(譲渡税20%の内80%(16%)が繰り延べられるので)支払うだけで済みます。


 ○買い換えを使った場合の譲渡税は、   1,820万円

 ●買い換えを使わなかった場合の譲渡税は、9,100万円



                その差は、7,280万円 となります。

 

これが最大のメリットであるのは言うまでもありません。

事業用資産の買い換え特例の計算式
事業用資産の買い換え特例


 反対にデメリットは、建物の減価償却対象額が少なくなり経費が減り、結果として所得税(個人の場合)が高くなる事です。


 買い換えた収益物件は、80%(4億円)分は、売却した土地の取得費(5%、2000万円)を引き継ぎますので、収益物件の取得費(譲渡費用他諸費用を除いて計算)は、1億2000万円(80%部分の2000万円+20%の部分の1億円)となり、土地・建物が1/2の割合であれば、建物の減価償却対象額は6000万円となります。

 ○買い替えを使った場合の建物の減価償却額は、 6,000万円

 ●使わなかった場合の建物の減価償却額は、 2億5,000万円

                 その差は、1億9,000万円 となり

減価償却費(経費)が1億9000万円増える訳ですから、減少する税金は

所得税・住民税合計が仮に40%として計算すると、7,600万円 となります。

 所得税率にもよりますが、簡単に言うと、譲渡税を一括で払うか、所得税として数年に分けて払うかの違いのようなものですが、この例では一括(譲渡税)の場合20%の税負担、数年に分けて払う(所得税・住民税)の場合40%で計算していますので、単純に比較すれば一括(譲渡税20%)の方が税負担が少なくなる事になります。


 ここまで説明して、やっと本題の“「事業用資産の買い換え特例」にどこまでこだわるべきか“に入っていけます。

  つづく

Posted by funaizc at 2014年06月01日

事業用資産の買い換え特例にどこまでこだわるべきか・・・・vol.3(まとめ)

前回 vol.2 の続きですが、前回からかなり時間が経ってしまいましたので、まずは前回のおさらいです(前提条件は前回のブログを参照下さい)


事業用資産の買い換え特例を使った場合の最大のメリットは

80%について課税が繰り延べされますので、前出の例の場合、土地を売却した時点では、譲渡税は4%(譲渡税20%の内80%(16%)が繰り延べられるので)支払うだけで済むことです。

反対にデメリットは、建物の減価償却対象額が少なくなり経費が減り、結果として所得税(個人の場合)が高くなる。

前回、簡易的に計算した結果では、

買換え特例を使った場合は、譲渡税が 7,280万円 安くなるが、減価償却額(取得費)が少なくなることにより、税率(所得税・住民税合計)40%の場合では、税負担が7,600万円増える。


所得税率にもよりますが、簡単に言うと、譲渡税を一括で払うか、所得税として数年に分けて払うかの違いのようなものですが、この例では一括(譲渡税)の場合20%の税負担、数年に分けて払う(所得税・住民税)の場合40%で計算していますので、単純に比較すれば一括(譲渡税20%)の方が税負担が少なくなる事になりますとまとめました。

図でまとめると、こんな感じです。

事業用資産の買い換え時の注意点(おさらい)

 ★所得税が最高税率(平成27年以降、住民税・復興税合わせると約56%、更に事業税がかかる場合は更に税負担UP)の方の場合は、


 更に、買換えた不動産を売却した時に発生する譲渡税を考慮(買い換えた不動産を所有し続ける場合は関係ありませんが・・・)するともっと差が出ます。


土地部分だけで比較(計算の前提条件は前回記載と同じで簡易計算)をしても、

買換え特例を使って買った土地(2.5億円)を 2億円で売却した場合値下がりした場合でも


 購入した土地部分 2億5000万円 の取得費は


250,000,000×0.2 + 250,000,000×0.8×0.05 = 60,000,000円
 

長期譲渡(20%で計算)の場合、譲渡税は
 

( 200,000,000 − 60,000,000 )× 0.2 = 28,000,000円

                 譲渡税が2,800万円となります。

 

買換え特定を使わなかった土地(2.5億円)を 2億円で売却した場合


購入した土地部分 2億5000万円 の取得費は そのままなので売却益 

は発生しませんので、当然譲渡税も発生しません。



 単純な計算では、ここでも買換え特例を使った場合の方が、税負担が2800万円多くなります。

更に買換え特例を使って、譲渡税の一部を繰り延べれば、上記の数字にはなりませんが、そこまでの計算は面倒なので省略させていただきます。

 ここまで書くと、断然買換え特例を使わない方がよさそうな結果となりますが、まだ解説していない買換え特例を使ったメリットとしては、


最初の譲渡税が少なくなるので、先の例であれば、7000万円ほど手元に残るお金が増えるので、7000万円借入が減る又は、7000万円高い物件が購入できる(7000万円分運用が増える)と言う事になります。


単純計算では、収益物件のNET利回りが4%とすれば、年間280万円税引前の収入が増えます。

10年間で2800万円、20年間で5600万円、50%の税引き後だと、

年間140万円、10年間で1400万円、20年間で2800万円手残り金額が増える事になります(借入の場合は異なります)。


 厳密には、個別の事例において試算してみないと明確な事は言えませんが、個人的な見解(まとめ)としては、


無理(買い換えを優先して物件選びを妥協)をしてまで、事業用資産の買い換え特例にこだわる必要はないと考えています。


明らかに買換え特例を使った場合の方が税負担が増えます。


Posted by funaizc at 2014年07月26日

不動産相続ビジネス市場における問題点

先月末に発行されました週刊住宅新聞の9月29日号に寄稿した文章を全文掲載させていただきます。

週刊エコノミスト7月29日号、週刊ダイヤモンド9月13日号に続き今回は、週刊住宅さんから寄稿文の依頼がありましたので、協力させていただきました。

今回は、週刊住宅さんの『不動産相続ビジネス特集』の中で、不動産相続ビジネスが過熱する中での注意点をまとめさせていただいたものですが、ビジネス誌などでも来年からの相続税の増税(基礎控除額の引き下げと税率構造の変更)を目前に”相続”を特集にしたものがかなり増えました。

 相続税増税の記事に読者も飽きてきた感もあり、最近は相続対策における注意点など、いきすぎた相続対策に警鐘を鳴らす主旨での取材記事の要請も増えてきたように思います。

週刊住宅20140929寄稿文

週刊住宅2014年9月29日号寄稿文全文掲載

 来年から始まる相続税の課税強化(基礎控除引下げ及び最高税率引上げ)に向け、建築・不動産関係業者などによる「不動産を用いた相続対策ビジネス(以下、“不動産相続ビジネス”と書く)」が活況を呈している。ビジネス誌各社が相続特集を頻繁に発行し『相続税の増税』を過剰に取り上げているように『相続対策』への関心は高まっている。

 相続税額としては、そこまで必要のない人が借入での不動産購入を勧められたり、無謀な資金計画でアパートの建築提案を受けているケースも多く見られる。判断がつかず弊社に相談に来られる方は氷山の一角であろう。

 そこで今回は「不動産相続ビジネス市場における問題点」を中心に述べさせていただく。
 相続対策において「不動産」は欠かせない、というよりも、「簡単に大きな相続税の節税効果が得られるものは今や“不動産”だけと言っても過言ではない」。そのため、相続対策ビジネスにおいては、税の専門家である税理士・公認会計士だけでなく、不動産を主なビジネスとする人たちが多く活躍し、積極的な営業活動を展開している。不動産を使った相続(税)対策の代表格と言えば賃貸住宅の建築であることは言うまでもない。

 総務省統計局発表の平成25年の全国の空き家数は820万戸であり、住宅のストックは既に十分ある中、日本の人口は減少しており、空室や家賃下落に苦しむオーナーも多い。にもかかわらず賃貸住宅の建築は止まらない。

 来年からの相続税の課税強化が影響しているのは間違いないが、それにも増して建築を増加させている要因は相続対策を口実にした積極的なセールスであり、それを後押ししているものは『サブリース(家賃保証)契約システム』だと考えられる。不動産の賃貸借におけるサブリース契約と言えば、不動産会社などが大家(オーナー)から建物を借り上げ、空室でも家賃を保証し、運営・管理を一手に引き受ける賃貸借契約(賃貸システム)の事を言う。

 サブリース契約は一定期間の空室は保証されるが、そこに家賃の下落を防ぐ効果はないのである。一般的には(会社よっては10年間の固定後)2年毎に家賃の見直しが出来る契約になっており、法的にサブリース会社にも賃料減額請求権は認められている。最近のほとんどの契約書は家賃の下落交渉などがまとまらない場合、サブリース会社からの契約を解除できるような内容になっている。そのため「30年一括借り上げ」などと言う謳い文句には何の保証もないのである。

 このような謳い文句で管理戸数を急激に増加させ、一時管理戸数でトップに迫った某社も、リーマンショック時の業績悪化(空室の増加)のしわ寄せをオーナーへの大幅家賃減額や一方的な契約解除という形で押付け、問題になったのは最近の話である。

先ほども述べたが、日本の人口は減少している。

(図1:首都圏の人口推計グラフ)

2010年〜2040年首都圏の人口推計(図1)

 図1は国立社会保障・人口問題研究所の最新データを元に2000年を100とした場合の各地の人口推移である。東京でも2020年以降は人口が減少して行く。

(図2〜3:年齢別人口構成推移グラフ)  
2015年首都圏の人口構成(図2)
2035年首都圏の人口構成(図3)
 図2〜図3は同データより、首都圏の年齢別の人口構成の推移を表したものである。例えば、2035年(20年後)の20歳〜24歳の首都圏の人口は、2015年の団塊ジュニアの中心世代(40歳〜44歳)の約半分にまで減少するのである。

 これだけ人口(賃貸住宅の需要層)が減少する中、30年間大幅な家賃の下落なしに空室を保証する事は非現実的である。

 だからと言って、土地の遊ばせておくわけにもいかないだろう。賃貸住宅市場は縮小するだろうが、需要がなくなるわけではない。

 「自己資金を半分以上用意する」など、入居者の獲得競争が激しくなる事を前提に事業計画を検討し、慎重な収支計画に基づいた資金(自己資金)計画を立てる事が重要なのである。しかし残念ながら、建築会社など提案する側(建てさせたい側)にそれ(慎重な事業計画)を求める事は、そもそも矛盾があることである。

 来年からの相続税の課税強化についてであるが、課税価格1億円の財産を保有している方(配偶者有り子供2人の場合)は、今年ならば相続税が100万円、来年以降は315万円と約3倍になる。税金が3倍となると確かに大増税だが、額にすると200万円である。その200万円の節税対策(実際にはもっと多くの相続税がかかると勘違いしている方が多い)のために、1億円規模の借入を行い、アパートを建築する方が多い。そのほとんどが、楽観的な収支計画を提示され、サブリースにより手間もかからず安定した収入を得ながら、かつ相続税も節税できると説明されているのである。

 アパート建築に限らず、不動産投資において、利回りが10%に満たない物件の場合、全額借入での資金計画では、家賃下落や修繕費負担、所得税負担などの影響により将来的にキャッシュフローが回らなくなる。
最近は、相続〇〇〇(例:相続プランナー)と言った民間資格を全面に出し相続の専門家を謳った、にわか専門家も多く、自社商品のセールスの為に相続対策を口実にしているケースが目立つ。

 不動産を使った相続税対策は、節税効果が大きい為、すこしかじっただけで簡単に提案できるが、注意すべき点も多く顧客の立場に立った本当に確かな不動産の目利きと豊富な税務(特に資産税)の知識と経験が必要である。だからと言って顧問税理士や公認会計士に相談すればよいかと言うと残念ながらそうとも言い切れない。 

 なぜならば、税理士は税金の専門家であるが不動産については専門家ではないからである。提携先の不動産業者などを紹介され不動産業者のペースになるケースも少なくはない。

 始めにも述べたとおり、不動産相続ビジネスは活況を呈しており、様々な提案者が活躍している。その提案が本当に自身にとって最善のものであるか?提案者が本当に信頼できるかどうか?を見極める事は非常に難しい。

 何億円もの借入など大きなリスクの可能性がある場合だけでなく、大きな決断を要する対策を実行する場合は、利害関係がなく公平な判断ができる豊富な経験によるセカンドオピニオンを求め判断することが重要である。

Posted by funaizc at 2014年10月09日

2月のセミナー『やってはいけない相続対策2015[地主編]』TV放送動画

1月は、新宿 と 横浜 で『その相続対策では財産を守れない!』 というセミナー
2月は、船橋 と 秋葉原 で『やってはいけない相続対策2015[地主編]』 というセミナーを行った事は前回のブログにも書かせていただきましたが、船橋で行ったセミナーは、千葉TVさんのカメラが入り、朝の情報番組でオンエアされました。

遅ればせながら、動画をアップします。

Posted by funaizc at 2015年04月06日

週刊エコノミスト2015年4月14日号 特集:土地投資の極意 賃貸住宅経営の危機 

4月6日(月曜日)発売の週刊エコノミスト 4/14号 に、2月のセミナー内容の一部を寄稿させていただきました。

エコノミスト4月14日号

 当初は、3ページの予定だったのですが、誌面の都合で2ページになってしまいました。2〜3週間後に、元原稿も併せてアップしようと思います。そのうち動画にもする予定です・・・

 エコノミストさんには昨年も数回記事を掲載していただきましたが、今回は、エコノミストさんのWebの”ピックアップ”にも名前入りで掲載いただいたので嬉しい限りです。

 セミナーでは、首都圏でも東京オリンピック(宴)の後には賃貸氷河期がくる!という内容で、2020年以降は東京でも人口が減少し、首都圏の人口構成の推移を紹介し、2030年(15年後)には、賃貸や購入の主な新規住宅需要層である20歳〜49歳の人口が大幅に減少すると紹介しました。

2015年(現在)の首都圏の人口構成

2025年(現在)の首都圏の人口構成
 
 上記グラフは、2030年の予測ですが、週刊誌の方には、少し早めの2025年のグラフを掲載させていただきました。

 10年後でも、首都圏の20歳〜49歳の人口合計は、現在(2015年)の1477万1000人から、1246万8000人となり、200万人以上減少すると推計されています。

 にもかかわらず、相続税対策を切り口にした賃貸住宅営業の成果?により、消費増税により住宅の着工件数が減少する中でも、賃貸住宅の着工だけは増加している為、需要が減り続けていく中、供給だけが止まらないのであれば、首都圏でも将来的(2020年以降悪化が顕著になり早ければ2025年)に賃貸氷河期が訪れると言っても過言ではないのではないでしょうか。

 併せて、賃貸住宅の建築を推進している要素であると考えられる『30年一括借り上げ』の落とし穴のひとつである、気付きにくい「解約」の条文についても、事例を交えて紹介させていただています。

ちなみに、30年後の2045年には、20歳〜49歳の人口は、1000万人を割っている事でしょう・・・

現在〜2040年の首都圏の20-49人口
 

Posted by funaizc at 2015年04月06日

本 『やってはいけない 不動産 相続対策』 を出版しました。 

やってはいけない不動産相続対策

2016年8月31日 実業之日本社より発売となりました。

プロの財産コンサルタントが教える
『やってはいけない 不動産 相続対策』

本の執筆や、これからの出版記念セミナーの広告などの準備に追われて、自分のブログを長期間放置していました。好評発売中です。
よろしくお願いします。

Posted by funaizc at 2016年09月06日



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