高田吉孝のブログ
■増加する「争族」と「遺言」
平成13年度の全国の家庭裁判所における相続に関する相談件数は、10年前の六割増の約90,600件となりました。昔?は、日本的慣習(家督相続)・家族間の絆・個人の良識などに支えられて、遺言がなくても、互譲の精神によって平穏に相続が行われることが期待できました。しかし、今日の社会事情や個人意識の変化によって、これまで穏便に収まってきた相続が、家族間の絆を裁ち切り、遺産を巡る骨肉の争いへと変わり、悲しいかな家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件は前述のとおり増加の一途をたどっています。
そんな背景もあってか、「遺産分割のトラブルを最小限に防止でき、自分の意思が最優先される」として、いま遺言の作成をなされる方が増え、公正証書による遺言作成については、近年著しく増加し昭和50年頃までは年間2万件以下だったものが、平成9年に5万件を突破し、平成14年には6万5千件近くに達しました。
法定相続と異なる遺産分割を考えられているとすれば、遺言の作成なしに遺産分割をスムーズに行うことは大変難しいでしょう。法定相続分での分割ですらまとまらない事も少なくはありません。 遺産を巡る骨肉の争いは、財産の多寡にかかわらず、醜いばかりにすさまじく激しいものがあります。被相続人が生存中は仲の良い家族であっても、相続が開始するや予想外の争いが頻発しているのが現実です。せっかく苦労して家族のために財産を築いても、これでは浮かばれません。生涯にわたってご自身で築き上げられた財産や、先祖代々受け継いでこられた財産を、ご自分の意思どおり次の世代に伝え、また残していく家族の幸せを願うのであれば、今すぐにでも遺言書の作成にとりかかりましょう。
※但し最近、遺言書を作成する人が増えているものの、不当な遺言や、欠点があるため、無効となってしまうものが多いため、遺言をめぐる相続争いも増加しています。
遺言書の作成ルールを守って、人生最後の意思「遺言」を失敗のないようにして下さい。
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