高田吉孝のブログ

困った!この土地どうする(前半)

私が寄稿しました週刊エコノミスト 7月29日「あなたの土地の相続増税」号の、『困った!この土地どうする』の前半の3つの記事(狭小地、不整形地、底地)を転載します。

困ったこの土地どうするP31

ケース1 狭小地


隣地への売却が原則
バイクコンテナ活用も


 15坪(約50平方叩膨度以下の土地を指すことが多い「狭小地」。都市計画道路の整備などに伴って、わずかな土地が残ってしまうことは少なくない。土地の形状も、細長かったり三角形だったりすることもある。それでも、駅の近くや人通りの多い場所であれば、駐輪場や宝くじ売り場、広告看板の設置など、活用方法はいくつかある。問題は、住宅地の中にある場合だ。建物を建てて活用するには狭すぎ、工夫して建てたとしても設計の制約などから建築費が高くなりがちで、借り手も付くかどうか分からない。

 狭小地は活用が難しくても、固定資産税と都市計画税(市街化区域内の場合)は毎年かかる。また、住宅を建てられるなら、面積が200平方辰泙任肋規模住宅宅地として評価され、固定資産税評価額が6分の1となる減額措置の適用を受けられるが、狭すぎて住宅を建てられなければ、雑種地として固定資産税評価額の100%がそのまま課税されてしまう。さらに、相続時には相続財産として相続税の課税対象にもなる。

 こうした狭小地で活用が難しい場合は、隣地の所有者に購入してもらうのが原則だ。隣地の所有者にとっては、一体で利用できるため、メリットが大きい場合が多い。狭小地を活用しきれずに、ただ税金だけを納めているのであれば、安い価格でも買い取ってもらうのは一つの考え方だ。ただ、隣地の所有者と価格で折り合えず、安く売るくらいなら持っておきたいと考える人も多い。

 住宅地の狭小地の活用方法は、駐車場(コインパーキング)が一般的だ。また、プレハブの建物を建てて、コインランドリーとする活用もある。乾燥機を持たない単身者なども多く、住宅地でも梅雨時などに乾燥機の需要が見込める。最近、増えているのは、バイク収納用のコンテナを並べて貸し出す「バイクコンテナ」としての活用だ。用途地域によってはできないが、住宅地なら一定の確率でバイク好きの人は存在するが、盗難やいたずら、風雨などから愛車を守るため、カギをかけてでも安全に保管したいというニーズは強い。

 バイクコンテナは1台分で幅1叩奥行き2〜3叩高さ2団度で、土地の面積に合わせてコンテナの個数を調整できる。また、車が入れないような間口が狭い土地であっても、バイクなら幅を取らず奥まで入れるため、活用できるメリットは大きい。こうしたバイクコンテナ専門の運営業者もある。

困ったこの土地どうするP32

ケース2 不整形地


「交換特例」で所得税減
購入で整形メリットも


 区画整理を終えた土地などを除けば、四角いきれいな形の土地ばかりではない。三角形や台形、道路に面した間口が狭いなど、「不整形地」の形状はさまざまだ。土地の形状が悪いことで、活用の際にもさまざまな制約が生まれ、十分な収益を上げられない原因となる。土地どうしを交換する際、譲渡所得とみなさず所得税がかからない「固定資産の交換の特例」などを活用し、土地の形をできるだけ早く整えておきたい。

 例えば、図のような幹線道路に面した土地を考えよう。幹線道路沿いの土地はコンビニエンスストアなどが有望な借り手となるが、道路に面する間口が狭いと道路から入りにくく、駐車場の台数も確保しにくいため、借り手がつかないケースが多い。そこで、土地の一部を隣地と交換し、道路への間口を広げれば、借り手にとっても使いやすくなる。固定資産の交換の特例は、交換した土地どうしの時価の差額が、時価が高い方の土地の20%以内であれば、所得税がかからない。

 収益性が見込める立地であれば、隣地の一部を購入して土地の形を整えたほうがいいケースもある。例えば、間口が狭いためコンビニに貸したくても借り手がつかない700平方辰療效呂あったとして、隣地から150平方辰療效呂鬘沓毅娃伊円で買って整形地にするケースを想定する。3600万円で建物を建ててコンビニに貸す場合、コンビニ側から土地所有者に建築協力金として建築費に相当する無利子の貸付金3000万円と敷金600万円を出してもらい建築する事が可能だ。

 土地所有者はコンビニ側から年間1500万円の家賃収入が支払われるとすれば、コンビニ側に年間200万円を月々家賃の一部と相殺し15年で均等返済する。土地所有者の年間の収入は1300万円(=1500万円−200万円)となる。単純計算では(以下()内は説明文です。(厳密にいうと固定資産税も引かなければいけないのでこうしました))、土地の購入代金7500万円は6年で回収できる計算だ。購入する土地の単価が周辺相場より少々割高であっても、借り手が付きやすいように土地の形を整えるほうが、有効に活用できるケースは少なくない。

 ただ、住宅地であれば、隣地を購入してまで整形地にするメリットは少ない。不整形地に建つ賃貸マンションを考えても、土地の形は入居者の日常生活には影響せず、土地の形を整えたところで、家賃を上げられるわけではないからだ。

困ったこの土地どうするP33

ケース3 底地


早急な処分が不可欠
売却、物納も選択肢


 借地権が付いている宅地、いわゆる「底地」は、土地所有者にとっては悩みの種だ。借地借家法によって借地人の権利が手厚く保護されているため、土地所有者がその土地を別の用途で活用したいと考えても、借地人に立ち退いてもらうことは難しい。一方、地代の水準も低いため、土地活用として収益性も見込めない。借地人に底地を買い取ってもらうなどして、早急に底地の状態を解消することが欠かせない。

 底地の地代の相場は、東京23区内の都心部を除く住宅地の場合、1坪(3・3平方叩謀たり600円〜800円程度。商業地でも同1000〜2000円程度だ。1坪の地代を600円とすると、100平方叩別鵤械按據砲僚斬霖呂涼和綣入は年間21万6000円。固定資産税が6万円程度とすれば、土地所有者の手元には16万円ほどしか残らない。

 また、底地には相続税ものしかかる。この土地の路線価を1平方壇たり33万円とすると、借地権のない状態の土地の相続税評価額は3300万円。借地権割合を60%、土地所有者の相続税率を40%とすれば、この土地の相続税額は528万円(=3300万円×40%×40%)となる。毎年の土地所有者の収益が16万円では、相続税分を賄おうにも33年かかる計算になってしまう。

 底地を解消するには、大きく’箋僉↓共同売却、8魎后↓買い取り――という方法がある。,痢崘箋僉廚蓮⊆效録佑膨戝呂僚衢権を買い取ってもらう方法だ。金額交渉の結果として、時価の借地権割合分で折り合うことが多い。ただ、借地人にまとまった現金がないこともある。その場合、土地所有者と借地人が共同で、第三者に土地の所有権と借地権を一体で売却する方法もある。これが△痢峩ζ映箋僉廚如⊇衢者と借地人が売却で得た現金を、借地権割合に応じて分割すれば、互いに不公平感が残らなくて済む。
 の「交換」は、借地人と土地所有者の間で、土地の所有権と借地権のそれぞれ一部を交換し、土地の所有権と借地権が同じ人になるように調整したうえで、土地を分割する方法だ。互いに現金を支出する必要はないが、分割可能な土地の広さがあることなどが前提となる。い痢崘磴ぜ茲蝓廚蓮土地の所有者が借地権を買い取る方法だが、借地権を買い取った後の土地活用で、買い取った金額に見合う収益性を得られるかが判断の分かれ目となる。

 底地を相続発生の際、相続税として物納する方法もある。ただ、現金で相続税を納めることが難しい場合など、物納にはさまざまな条件があることには注意が必要だ。さらに、複数の底地をまとめて買い取る専門業者もあるが、極端に安く買いたたかれてしまう可能性が高い。そのため、専門的になるが、複数の底地買い取り業者に対し入札を実施し、高値で落札した業者に売却するという手段もある。





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