5月9日の日経新聞朝刊に『サービス付き高齢者住宅 「標準に達せず」43%』と言う記事が載っています。調査結果のみを要約すると、
高齢者住宅研究所が、サ高住の業界団体から委託を受け昨年春、2012年末までに登録された2055物件全てにアンケート調査を実施し、回答のあった647物件について、99項目を点数化し評価(ランク付け)したとの事。
<調査結果>
優良な住まいとされた Aランクの物件は 14.7%( 95件)
標準的な住まいとされたBランクの物件は 41.7%(270件)
標準未満の住まいとされたCランクの物件は 40.3%(261件)
問題がある住まいとされたDランクの物件は
3.2%( 21件)
となっています。
2055物件の内、回答(契約書や説明書の資料返送)のあった647物件の調査結果が上記の結果ということは、実際(2055物件全てでは)もっと悪い結果が出るのではないか?(悪い事業者の方がアンケート回答率が低いはず?)と思いますので、いずれにしてもサービス付高齢者向け住宅の質はまだまだ十分でないことがこの調査結果からも読み取れます。
これは、あくまでも入居者サイドに立った視点での調査です。
私は、『サービス付き高齢者向け住宅』の有効活用に対しては、慎重派(否定派)の第一人者を自負しており、
『サービス付き高齢者向け住宅』の有効活用はやめた方がいい!
と言うタイトルで、セミナーを行ったり、ブログ記事を書いたりしていますが、あくまでもこれは、建築するオーナー(貸主)の立場での考えです。ほとんどのサービス付高齢者向け住宅は、地主さんなどが建築して、運営事業者等に一括で貸しています。
※なぜ、『サービス付高齢者向け住宅』の有効活用はやめた方がいいかと言う事につきましては、ブログ記事をお読みください。
入居者にとっては、沢山の物件(サービス付高齢者向け住宅)が出来て、アンケート結果に見られるように良い物件から悪い物件があっても、物件(サービス付高齢者向け住宅)が増えれば、それだけ物件間の競争が進み、制度上の問題点も若干は改善されるとともに最終的には、悪い物件は淘汰され、結果として入居者にとってはサービスも改善されるでしょう。
悪い物件は、運営が行き詰まり、運営事業者の入れ替わりも起こるでしょう。いくら20年30年のサブリース契約をしていても運営事業者が撤退してしまえば何の保証も有りません。運よく代わりの運営事業者が見つけられたとしても、家賃が大幅に下がる可能性は非常に高いです。
多くの物件(サービス付高齢者向け住宅)が供給(建築)され競争が起こることにより、良くない物件(運営事業者)が淘汰され、オーナーの家賃が下がる事により、結果として入居者の家賃が下がる事になりますので、入居者の立場からすれば、どんどん物件が増えることは良い事でしょう。
しかし、それを建築(多くの場合は建築をさせたい人達からの提案により建てさせられる?)するオーナーにとっては、死活問題になりかねません。
何億円も借入して建築するケースがほとんどです。『サブリースだから安心です』『高齢化社会で需要が高いので将来的にも有望です』と言われて建てているケースが非常に多いです。
もともと入居者の住環境を良くする為、老人ホームにくらべて部屋を大きくしたりしていますので、補助金の効果も大したことがなく、利回りの低い有効活用です。たまたま良い運営事業者に巡り合えて安定した運営がされれば良いですが、有料老人ホーム(特定施設)とはしくみも制度も法的背景もちがう、名前の通りただの高齢者向けの住宅です。
一般の住宅のようにオーナーさんががんばって空室対策をする事もできません。運営事業者任せです。何億円もの借入をして共同で事業を行うようなものです。にもかかわらず、建築する際には提案者から運営事業者がセットされており、あまり深い検討もされずに建築を実行しています。
今回の調査結果からも、その辺のリスクが読みとれます。
サービス付高齢者向け住宅の建築を検討している方は、是非ご相談下さい。契約書にサインをする前にもう一度内容を見直(第三者的見方でリスクを改めて確認)しましょう。失敗する前に是非ご相談下さい。本当に有効活用になるかどうかのアドバイスだけでなく、どうすればよいかなど無料でアドバイスさせていただきます。
昨年、週刊ダイヤモンドで取材を受けた記事を改めて掲載しておきます。