2月中旬に発表された診療報酬の改正案(中央保健医療協議会発表)で、サービス付高齢者向け住宅や介護施設に入居する患者を1日に複数回訪問する場合、医療機関への診療報酬が大幅に引き下げられる方向性が示されました。
これまで、在宅診療を行った場合の報酬点数は3000〜5000点となっていましたが、1つの建物で同じ日に複数の患者に対して診察を行った場合、720〜1200点まで減額されるとの事。詳しい運用内容は3月中旬には見えてきそうとの事です。
入居者を囲い込むような“不適切な事例”を排除する為であり、高齢化の進展により今後ますます医療費の増加が問題となってくる状況化では、やむを得ない事ではないでしょうか?
今回の改正(案)により、サービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームなどに向けて訪問診療を行ってきたドクターや医療法人は、単純計算すると報酬が四分の一になってしまいますので、収益的には大きなダメージがあると思います。
私は、『サービス付高齢者向け住宅の有効活用はやめたほうがいい!』と言うセミナーを継続的に開催しているように、サ高住に対しては慎重派の第一人者?だと自負しています。
私は、前身の『高専賃』時代からそのしくみの不備と将来性の懸念を指摘してきました。
但し、それはあくまでもサ高住を建てて貸す側のオーナー側の立場に立ったものです。利用する入居者にとっては、多くのサ高住ができて競争が進み、良いサ高住が増えれば良いと思います。
サ高住は、あくまでも住宅であり、老人ホーム(特定施設)とは収益構造が違います。介護事業の収益が特定施設ほど高くないため、不動産(家賃のサブリース)収益に依存する割合が高くなると言われています。
私がサ高住の落とし穴のひとつとして、
・介護事業者(運営事業者)次第で運命がきまる。
・サ高住はサービスのばらつきが大きく、運営事業者の差(良し悪し)が出やすい。
・事業者が途中で変更(撤退)した場合、大幅に賃料が下がることが多い。
と言っていますが、サ高住の中でもしっかりとした医療法人(入居予備軍患者を多く抱える医療法人)なら、サ高住でも収益基盤が高いので、良いと思っていましたが、今回の改正を受けて影響が出てくる可能性もあるのではないでしょうか?