高田吉孝のブログ

第8回 不動産を使った相続対策の注意点「都心収益不動産による相続税対策の注意点について」(特定NPO法人の「日本住宅性能検査協会」のコラムへの連載文より)

 前回は、小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)による都心収益不動産購入による相続税評価の減額(→相続税の減額)のしくみを中心に書きました。

 注意点としては、小規模宅地等の特例が税制改正により改正され、減額割合が縮小された場合、当然効果は少なくなりますが、現状ではそう言う話は聞こえてきていません。これまでの推移を見ても不動産貸付の場合のみ減額割合が縮小される可能性は少ないのではないかと考えています。
 

小規模宅地等の課税の特例推移2

 それでは、今回は都心の収益不動産購入の注意点について書いて行きたいと思います


 前回説明(図解)では、路線価は時価(公示価格)の80%と言う前提で計算していますので、1/3程度への評価圧縮となっていますが、都心部(好立地エリア)では、時価と公示価格との乖離が大きい為、当然路線価(相続税評価)との乖離も大きくなる為、実際には小規模宅地等の特例適用後で相続税評価額が4/1やそれ以上の圧縮になる事もよくあります。とにかく相続税の節税効果は絶大で、その効果については疑う余地はありませんが、大きな効果を得る為にはその効果の数倍もの価格(高額)な収益不動産を購入する必要がある為、当然いくつかの注意点があります。


 最も多くの失敗(落とし穴)は、やはり物件の選別(物件選び)です。相続税が少なくなって相続を楽に乗り切れたとしても、相続後に収益不動産の収支が悪くなって、キャッシュフローが回らずその収益不動産を売却しようとしたら大きく値下がり(または売れなかった)し借入が返済できず破綻と言う事もあります。


 そんな事にはならないと思っていても、相続税の節税効果を大きくアピールされ不動産会社などから物件(収益不動産)の良い点ばかり説明され(時には早く決断をしなければ買い逃すと判断を急がされ)続けている内に落とし穴にはまって行く(物件選びに失敗)事が良くあります。

 数億円規模の収益不動産の購入は、数億円で事業を始めるのと同じです。ましてや多額の借入で収益不動産を購入する場合、本当に注意しなければいけません。

 今の市況では、都心部の良質な収益不動産を全額借入で購入しても収支が合いません。超一等地でもないそこそこの場所でも築20年の物件が5%台で売りに出ています。実際は6%台と言ったところでしょうか?少し前までは、築20年で7%でも高いと感じていましたが、物件不足と将来的な先高感より都心の収益不動産の利回りは低下しています。


 今は、本当に収益不動産を購入するには非常に難しい市況です。本当に良い物件は特に動きが早く、あっという間に売れていまいます。それだけに短期間で正確な判断が求められます。

 本当に信頼のおける収益不動産のプロ(仲介の立場でない人間がベスト)が側にいると心強いですが、他人任せにせずご自身でも重要なポイントをチェックが出来れば、物件選別で大きな失敗をする確立は大きく減少します。
 

次回は、物件選びのポイント、収益不動産購入の落とし穴について具体的にまとめてみたいと思います。 





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