先週の話の続きで、最終的には”土地価格も需要と供給”で決まると言う話ですが、これから不動産価格は今後上昇するのでしょうか?という質問を最近よく受けます。
アベノミクスの効果次第ですが、東京五輪の開催も決定したこともあり、ここ数年間(オリンピック前まで)は、ゆるやかな上昇局面ではないかと思います。
確かに、足元の不動産市況を見てみると、新築マンションの売れ行きが好調で中古マンションの価格も上昇したり、収益物件の慢性的な品不足による利回り低下(価格上昇)、戸建て&マンション業者の土地の仕入れ意欲の堅調さからも、首都圏では土地価格は底打ちし一部は上昇に転じています。
ただ、不動産価格と言っても、地域や用途によっては全く異なりますので、首都圏を中心とした一般論での話です。
で、話を元に戻しますが、結局“競争市場では、需要と供給(じゅようときょうきゅう)が一致することにより市場価格と取引数量が決定される”(ウィキペディア需要と供給より)という一般の理論が、不動産にも当てはまります。
先週、土地(主に住宅地)の需要は、大きく『住みたい需要(住宅地としての人気)』と『収益的需要(そこでどれだけ収益が上げられるか)』の2つと書きましたが、人気エリアの不動産価格や家賃が高くても、そこに住みたい(需要)と考える人が供給(物件数)より多ければ価格は上がり、逆なら下がります。
なので、当然景気にも多少は左右されますが、なんと言っても絶対的需要は人口数です。地方で不動産価格の下落が止まらないのは人口の減少が止まらない=需要が減り続けているからです。
売りに出しても全く売れない土地も沢山あります。所有していても利用価値がない(住む人がいない、稼げない)なら当然です。
不動産価格の一般論の話(質問等の回答)をする時困るのは、場所の違いです。住宅地と商業地でも動きは違いますが、同じ東京の住宅地の不動産価格と言っても市町村によってもかなり異なります。23区内でも差がありますが、23区とその周辺の市部、そして東京でも都心部からかなり遠い郊外では地価の動きは東京と言っても地方と似たような動きで、人口も不動産価格が下がり続けている地域もあります。
国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』のデータを見て見ましょう。
これは、都道府県別総人口の増加率のデータの一部です。 全国では、既に人口は減少し年々減少率は大きくなっています。
東京は、2015年(平成27年)時点ではプラスとなっていますが、2020年(平成32年)東京オリンピックの年には、マイナス0.3%となっています。
東京でも市区町村単位で見ると、大きく異なることが下図からも一目瞭然です。
この表は、東京都の市区町村別の総人口数及び2010年(平成22年)を100とした時の指数です(都心部〜郊外を部分的に抜粋)。
同じ東京都でも市区町村によって、人口の増加率(減少率)は大きく異なりますので、東京都なら地域を問わないと言う事はありませんが、都心部の地価は底打ちし、一部上昇している所があり、今後については、アベノミクスの成果にもよりますが東京オリンピックの開催が決定したこともあり、地価については2020年(オリンピック)手前までは、横ばい〜ゆるやかに上昇すると思いますが、2020年以降は大きく変わって行くことが予想されます。
つづく