国税速報(平成27年7月1日第6270号)のトップの下記最新裁決例紹介にふと目が行き、興味のある内容だったので少し紹介します。
〜土地保有特定会社の判定の際の「土地等の価額」には無償返還届出書が提出されている土地の価額の20%相当額が含まれるとされた事例〜
〔国税不服審判書 平成24年10月9日裁決(裁決事例集第89集)〕
先週のブログに、相続対策にもなる「法人活用」の事を書きかけ、その「法人活用」の基本とも言える”建物所有方式による所得の分散効果”などについて書くつもりでしたが、少し関連あるので今週はこのネタ(裁決事例ネタ)を書きます。
建物所有方式で、法人が個人(同族関係者)の土地上に建物を所有した場合、税務署に無償返還届出書を提出し、借地権の権利金の認定課税を受けないようにします。その場合は、土地の相続税評価は20%減額されますので、同族法人の株価を計算する場合、当然減額された20%は法人側の資産に計上します。
あたり前の事だと思っていましたが、この裁決例での請求人の主張は、『無償返還届出書が提出されている土地については、相当地代通達5(「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額)により、その借地権の価額は零として取り扱われることとなるから、相当地代通達8(「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価)及び相当地代貸宅地通達により当該土地の自用地としての20%に相当する金額を純資産額に含めるとしても、それは借地権の価額ではない〜略〜 したがって、自用地としての価額の20%に相当する金額は、評価基本通達189(3)イに定める「土地の価額」に該当しない。』となっていますが、審判所の判断は、”NO”「土地の価額」に該当するでした。
争点は「土地の価額」の定義(個人側で減額された20%分の評価を「土地の価額」と言うのか?)だと思いますが、個人的にも裁決通りだと思いますと言うか、この事例が国税不服審判所で争われていたのが意外でした・・・