たまに、本ブログのアクセス解析を見ていますが、最近は「サービス付き高齢者向け住宅の有効活用の注意点」に関することを書いたり、なんといっても4月22日に発売された週刊ダイヤモンド(P68P69)に私がセミナーで話している事が取材記事として掲載されたりしたので、やはり『サービス付き高齢者向け住宅』が先月から検索キーワードの最上位となっています。
意外なのが、『少人数私募債』というキーワードが先月も今月もまだ上位(2位3位)な点です。
2月17日のブログで、『少人数私募債利用の節税封じは、平成28年1月1日以後との情報、ならば“駆け込み需要”が予想される。』と言う記事を書きましたが、それが今でも意外と読まれているようです。
と言う事で、今日は『少人数私募債』のついて少し書いてみようと思います。
今では、明確に総合課税になるのは、平成28年1月1日以降発行の少人数私募債が対象で、それまでに発行されたものは、分離課税との解釈となっていますので、少人数私募債を活用した場合の税務リスクは、適正利率を超える部分(又は利息そのもの)に係る利息が役員給与と見なされる点ではないでしょうか。※適正利率についてはのちほど・・・
もう少し具体的に言うと、会社に十分なキャッシュが有り、資金調達の必要性がないのに多額の少人数私募債を発行して、社債利息分の役員報酬を減額したりすると、この少人数私募債の発行は役員報酬を社債利息に振り替えただけではないかと見なされ、適正利率を超える部分(又は利息そのもの)に係る利息が役員給与と見なされる可能性が高いと言う事です。
私たちは弊社の経験豊富な資格者(税理士等)が確認の上、同族会社に建物を移転する場合などにもこの少人数私募債を発行する事がありますが、当然こういう課税リスク(同族会社の行為計算否認規定)には細心の注意を払います。
私個人としては、同族会社が個人から建物を購入する場合は、当然資金調達の必要性が出てきますので、担保提供の必要な銀行借入ではなく少人数私募債を活用する事は合理的な行為ではないかと考えています。利息についても一般の上場会社などと比べれば、多少高くなるのは当然ではないかと思います。
適正利率についての議論の紹介を詳しくここで書くと長くなるのでやめときます。その資金調達による法人の投資効果やその調達額などにもよると思いますが、ホームページで色々検索すると2%〜5%と言ったところでしょうか?
ちょっと話が変わりますが、最近の事例で残念な事がありました。セミナーに参加されたお客様の法人活用の相談に対して、6000万円の時価で収入が年間3000万円ある商業用建物を新設法人に移転する際に、法人の資金調達手段として、少人数私募債を発行して、4%の利息(年間240万円)を受け取るスキームを提案したのですが、残念ながらその提案は、顧問税理士によって否定された為、お客様は実行しませんでした。
その方は、その他にも不動産収入が有り、当然最高税率ですので多額の所得税等を納付しています。にも拘わらず顧問税理士は、これまでも法人活用を実行していませんでした。そして今度は否定です。
私募債利息による節税効果はたいした事はありませんが、建物を個人から法人に移転する事による税効果は非常に大きく、また私募債の利息が法人の経費になる事も結果とし法人税の節税にもなります。
資金調達の必要性、4%の利息(総額で年間240万円と言う少額)、時価での建物売買、私としては、課税リスクが高い提案とはとても思えません。
顧問税理士は、本当に知識と経験があって、否定したのか疑問です。なにより本当にお客様の事を思ってアドバイス(否定)したのかと思ってしまいます。