私たちも、お客様に総合的な相続対策の中で、少人数私募債を利用したスキームを提案し、実行してきました。
例えば、土地等を売却し、都心の好立地な場所に不動産を組み替える場合、土地は個人が取得し、法人(お客様の所有同族会社)が収益物件(賃貸マンション等)の建物を取得するといったケースにも少人数私募債を利用する事もあります。
通常、法人は金融機関から建物の取得資金を調達(借入)するケースが多いですが、個人に資金がある場合、個人が法人にお金を貸し付ける代わりに、個人が法人が発行した少人数私募債を引き受けます。
社債発行は面倒ですが、50人未満の少人数私募債なら簡易な手続きも可能です。
通常、個人(役員等)から会社等への貸付金利子は雑所得となり最高税率50%の総合課税となりますが、少人数私募債の社債利子は利子所得となり20%源泉課税になります。法人は高収益の不動産(建物のみ)から収入が増えるので、通常役員は役員報酬が上がりますが、ここでは役員は役員報酬を上げず利子所得だけが増えることとします。最高税率の高所得なら、増加した収入が50%の課税から20%で済む事となり、法人での資金調達の方法を少人数私募債にした結果として、所得税の節税にもなります。
世の中では、もっと露骨に節税スキームとして利用されていたようです。しかし、平成25年度の税制改正大綱では、「同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の役員等が支払を受けるものは、総合課税の対象とする」と発表され、この節税スキームが封じられる事となり、最大の関心事が、いつから適用開始なのか?過去に発行した少人数私募債まで対象となるのか?でした。
この節税策を用いていた税理士等専門家の間では、税制改正大綱に明記されていない「適用開始日」について、色々な見解・推測がありましたが、先日、Lotus21社の専門誌ニュースPROが、独自取材により「公社債等及び株式等」に関する改正(自民党税制改正大綱の「第二 平成25年度税制改正の具体的内容」の「一 個人所得課税」の「2金融・証券税制」の(1))については、すべて「平成28年1月1日」が適用開始日となる事が発表された。と報じました。
平成28年1月1日までに発行されたものが大丈夫(適用外)となると、あと3年近く節税スキームは使える事になるので、駆け込み需要が起こりそうです。