高田吉孝のブログ

平成19年度税制改正大綱発表に思うこと…

与党(自民、公明両党)は14日、平成19年度与党税制改正大綱を決定しました。

平成19年度の税制改正大綱は、安倍政権が掲げる「経済成長なくして財政再建なし」の成長重視路線を背景に、各種の企業減税を盛り込み、設備投資負担を軽減する「減価償却制度」の拡充等が話題となっていますが、ここでは、私の業務に関連する項目について少し見てみることにします。

 まず、直前まで気になっていた平成18年12月末で期限切れとなる予定だった事業用資産の買い替え特例(個人15号(旧21号)・法人16号(旧22号))ですが、結論としては、適用期限が2年延長されることとなりました。この特例については、事前にはまず再延長はないだろうと言われていましたので、8日の新聞に自民税調が買い換え特例を延長する方向で検討に入ったとの載った際も、法人16号(旧22号)だけかと思っていましたが、結局は両方延長となりました。現在の不動産市況から見ると、本来の目的は達成されたように思いますが、資産の組み換えを行うには、メリットのある特例ですので、延長には歓迎です。
 
 またこのブログでも何回か書きました証券税制では、平成19年12月、20年3月にそれぞれ期限を迎える上場株式の譲渡益と配当に対する10%の軽減税率(本則20%)が結局1年延長となりました。

 政府税制調査会が提言していた金融一体課税が先送りとなりあいまいな政治決着と批判の声も聞かれますが、貯蓄から投資の流れをもっと本格的なものにするには、なんらかの優遇策は必要だと思いますので、じっくり議論してもらいたいと思います(大綱では、課題を今後1年かけて議論する方針が示されています)が、関係者が表向き足並みをそろえる「金融一体課税」には、銀行界の協力や、前提となる納税者番号制への理解などのハードルが控え、早期実現は困難との見方が一般的のようです。

あと、大綱をざっと見て気になった箇所を抜粋します。

<中小企業・ベンチャー支援>(10ページの2と3)

・特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金の額又は出資金の額が1億円以下である会社を除外する。
・特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる。

 これについては、同族会社を持つ地主さんにとっても朗報だと思います。

あと円滑・適正な納税のための環境整備の最後(31ページの13)

・相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税を課税する保険金の範囲に、わが国の保険業法の免許を受けていない外国の保険業者と締結された生命保険契約又は損害賠償契約に係る保険金を加える。

 一般の方にはあまり縁がないと思いますが、相続税の税率が高い大資産家の一部で行われていた節税方法(外国の保険業者と契約して受け取った保険金は相続税ではなく、相続税より低い税率である一時所得となった)ですが、今回の税制改正で蓋をされました。税制の穴を抜けようとする節税方法を提案する保険会社や証券会社がありますが、そのような対策は改正されれば全てが無駄になります。やはり相続対策は、地道に行うのが一番です。

まだまだ相続税関係で何点かありますが、改めて取り上げていきたいと思います。


平成18年度税制改正大綱の要旨

経済・社会を安定的に支える税制に向けて

 来年秋以降、早期に本格的かつ具体的な議論を行い、07年度を目途に少子・長寿化社会における年金、医療、介護などの社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組む。

税制改正の具体的内容

◇経済活性化・国際競争力の強化

減価償却制度

1)07年4月1日以後に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止する。

2)07年4月1日以後に取得する減価償却資産は、耐用年数経過時点で1円(備忘価額)まで償却できることとする。07年3月31日以前に取得した減価償却資産は、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で均等償却できることとする。

3)法定耐用年数について、フラット・パネル・ディスプレー製造設備とフラットパネル用フィルム材料製造設備は10年から5年へ、半導体用フォトレジスト製造設備は8年から5年へ短縮する。

4)固定資産税の償却資産は資産課税としての性格を踏まえ、現行の評価方法を維持する。

中小企業・ベンチャー支援

(1)エンジェル税制

1)特定中小会社の要件を緩和する。

2)対象となる特定新規中小企業者の確認手続きを合理化する。

3)特定中小会社が発行した株式に関する譲渡所得の2分の1課税特例は2年延長する。

(2)特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金・出資金が1億円以下の会社を除外する。

(3)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度は、適用除外基準である基準所得金額を1600万円(現行800万円)に引き上げる。

(4)相続時精算課税制度について、推定相続人の1人が07年1月1日から08年12月31日までに取引相場のない株式の贈与を受ける場合、一定の要件を満たすときに限り60歳以上の親からの贈与にも適用することとし、非課税枠を3000万円とする。

◇金融・証券税制

 上場株式の配当と譲渡所得に関する軽減税率は、適用期限を1年延長して廃止する。この間、証券市場の状況、個人投資家の株式保有状況などを勘案し、金融商品間の損益通算の拡大策などを検討の上、成案を得て09年(度)からの導入を目指す。その際、市場の混乱を回避する観点から市場特例措置を講ずることも検討する。

◇住宅税制

(1)税源移譲に伴い所得税の住宅ローン控除制度を中低所得者層が利用した場合の減税額が減少することを踏まえ、07、08年入居者に対し、控除率を引き下げた上で控除期間を15年に延長する特例を創設する。

(2)住宅のバリアフリー改修を支援するため、控除期間を5年とした上で、改修工事に関するローン部分の控除率を引き上げるバリアフリー改修促進税制を創設する。固定資産税の減額制度も創設する。

◇国際課税

(1)国際的に活動する企業にとって移転価格税制の適用による二重課税が負担となっているとの指摘に対応し、取引相手国と相互協議が行われている間、納税を猶予する制度を導入する。

(2)外国子会社合算税制の適用を免れる租税回避行為に対処するため、合算対象となる子会社の範囲を見直す。

◇円滑・適正な納税のための環境整備

(1)電子証明書を取得した個人が07、08年分の所得税について電子申告した場合、所得税額から5000円を控除する制度を創設する。

(2)納税者がコンビニエンスストアで納税できる制度を設け、国税の納付手段を多様化する。

◇その他の政策税制

1)企業の子育て支援を促進するため、事業所内託児施設の設置費用に関する割り増し償却制度を創設する。

2)再チャレンジを支援する民間企業などへの寄付金について、税制上の優遇措置を講じる再チャレンジ支援寄付金税制を創設する。

◇その他

1)寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額の40%(現行30%)に引き上げる。

2)組織再編税制

1.三角合併が可能となることに伴い組織再編税制について適格合併、適格分割、適格株式交換の要件および被合併法人の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べるか否かを判定する要件である合併の対価の範囲に、合併法人の親法人の株式のみが交付される場合の当該株式を加える。

2.共同で事業を行うための組織再編に該当するか否かの判定要件である「事業性」「事業関連性」について、運用面での取り扱いを明確化するため、判断基準を法令で明記する方向で検討する。

3.鉄軌道用地の評価方法の変更を07年度に実施するため、所要の措置を講じる。

検討事項

◇環境税はさまざまな政策的手法全体の中での位置付け、課税の効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存の税制との関係などに考慮を払いながら納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討する。

◇個人住民税の公的年金からの特別徴収について、09年度を目途に導入できるよう所要の準備を進める。


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