高田吉孝のブログ

金利上昇と不動産価格の関係は?

3月に日銀による量的緩和政策が解除され、金利を上げ下げする通常の金利政策に戻りました。市場では既にゼロ金利解除を見越し、長期金利も上昇に転じています。長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りは、日銀が量的金融緩和策を解除した3月9日から1ヶ月で約0・4%も上昇し、4月18日の取引時間中に一時2%まで上昇しました(取引時間中に2%をつけたのは、1999年8月以来、約6年8か月ぶりでした)。
長期金利の上昇は景気の順調な回復を示しているとも言えますが、高値を更新中の原油高もインフレ懸念を強め、世界的な金利上昇傾向も心配されます。

そんな金利の先高感の中、住宅販売は絶好調のようです。「金利が上がる→物価が上がる→不動産が上がる→今のうちに買う」という考え方ですが、はたして本当にそうでしょうか?
今は昔と違って、不動産価格は家賃収益(正確には収益還元法)から算出されるようになりました。収益還元の考え方では、金利が上昇すると不動産価格は下落することになります。

 なぜか? 現状の預金金利を1%と仮定して不動産に期待される手取り利回りを5%と想定して考えてみましょう。その差4%。それがリスクプレミアムです。無リスク資産の預金に比べて不動産という有リスク資産に求められる利回りは4%が上乗せされるということです。

 金利が上昇して、預金金利が1%から5%上昇して6%になり、不動産のリスクプレミアムが4%のままならば、不動産に期待される利回りは5%から10%に上昇しますので、不動産の収益(家賃)が同じならば、不動産価格は下落することになります。
手取り家賃収益500万円の物件を考えましょう。現在の手取りの還元利回りが5%ならば現在の物件価格は1億円です(物件価格1億円×利回り5%=家賃収益500万円)。金利上昇により不動産に期待される利回りが10%にまで上昇しました。家賃が変わらないままで利回りだけ上昇すれば物件価格は5000万円(物件価格5000万円×利回り10%=家賃収益500万円)にまで下落してしまうことになります。つまり不動産価格は下落します。

 しかし金利上昇とともに賃料がアップして家賃収益を1000万円にまで引き上げられたなら物件価格は1億円(物件価格1億円×利回り10%=家賃収益1000万円)を保てます。期待される利回りが2倍になり同時に家賃収益が2倍になれば不動産価格は値上がりも値下がりもしません。

都心部のオフィスビルでは空室率が改善され、賃料も上昇に転じていますが、はたして金利上昇をカバーするほど上昇するでしょうか?



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