高田吉孝のブログ
「被相続人からの3年以内の贈与財産について」 〜相続税入門第18回〜
5.生前贈与加算
相続又は遺贈によって財産を取得した人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与によって財産を取得したことがある場合、贈与された財産を相続財産に加算し既に納税した贈与税については相続税から控除することとされています。
<贈与により取得した財産の価額>
贈与により取得した財産の価額は、贈与時における価額によるものとされています。
<適用対象者についての留意点>
相続時精算課税適用者以外の者が、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合には、この規定の適用はありませんが、相続時精算課税適用者については、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合であっても、この規定の適用があります
<贈与税の申告の有無とは無関係です>
3年以内に贈与を受けた財産であれば、贈与税の申告を行なっていなくても加算されます。贈与税には110万円の基礎控除がありますが、この金額以下であれば贈与税の申告は不要です。しかし、相続税の計算上、贈与財産は全額加算されますので注意が必要です。また、贈与税の申告をしなければいけないのにしていなかった場合にも、この規定は適用されます。この場合、「贈与税を支払っていないのに、贈与税分を控除してくれるなんてラッキー!」と思わないでください。(そんなに上手い話はありませんよ)贈与税の申告は期限後であっても必要です。ついでに、期限後であることから、附帯税(ペナルティ)も課せられます。(きちんと贈与税の申告をしましょう)
<この対象とならない贈与について>
相続の開始前3年以内にその相続に係る被相続人から贈与を受けた財産のうち、「特定贈与財産」に該当するものについては、この規定にかかわらず、相続税の課税価格に加算されないこととされています。
この「特定贈与財産」とは、婚姻期間が20年以上である配偶者に該当する被相続人から贈与を受けた居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭で、その贈与が相続開始の日の属する年の前年以前に行われている場合は、その贈与につき贈与税の配偶者控除の適用を受けて控除された配偶者控除額の金額をいいます。(贈与税の優遇規定)
※贈与するときの節税方法がいくつかあります。以下はあくまで一例です。
1.贈与は、値上がりが見込まれる財産から行なう
→加算されても贈与時の価額だから
2.相続人以外(たとえば孫)に贈与する
→相続・遺贈により財産を取得していなければこの規定の適用がない
3.婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産等を贈与する
→2,000万円までは相続税・贈与税は無税
(注)ただし、節税も大切ですが、「争族」にならないように気をつけてください。
(船井財産コンサルタンツ高松 教えて!美佳先生より)
つづく→次回は「課税価格の計算について」です。
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