高田吉孝のブログ
個人所得課税に関する報告書(概要)政府税制調査会が来週発表…
政府税制調査会(首相の諮問機関)が来週発表する個人所得課税に関する報告書の概要が先週明らかになりました。地方への「税源移譲」に向け所得税と個人住民税の税率を2006年度税制改正で抜本的に見直すと提言するとの事です。個人所得課税の税率改定は2007年からで、所得税・住民税の合計負担に大きな変化はない見込みとのことですが、今年の税制改正で半減を決めた定率減税(所得税と個人住民税を最大で年29万円軽減)の廃止に言及するとの事です。
所得税から住民税への本格的な税源移譲を打ち出しており、住民税は現行三段階(5%、10%、13%)の税率を10%に一本化し、低所得者には所得税で10%より低い税区分(5%)の新設を求めています。所得税と住民税を合わせた最高税率は現行の50%を維持し、多くの所得階層での実効税率を変えず、地方への税源移譲を進めていくようです。
なお、あわせて住民税の課税基準年を、「前年」から「所得が発生した年」に改める検討もされています。
気になる所得控除の見直しですが、サラリーマンの経費として給与収入から一定額を自動的に差し引く給与所得控除について、政府税調は、実際の経費が差し引けるような「柔軟な仕組みを構築すべきだ」と提案しています。確定申告で経費の実額を控除できる制度を拡充するとの事ですが、実質的には給与所得控除の縮小につながりそうです。自営業者の徴税も強化し、税の不公平感を解消を狙うとの事ですが、基本的には増税路線に違いないと思います。来年には、消費税の引き上げ議論も本格化すると思いますが、増税議論ばかりでなく、歳出削減や政府のリストラについてもっと真剣に考えて欲しいものです。
個人所得課税に関する報告書(概要)
税源移譲
2006年度には定率減税を廃止するとともに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施する。
所得区分、所得の計算方法の見直し
・給与所得
一律的な給与所得控除のあり方を見直し、柔軟な仕組みへの以降を検討する
・退職所得
短時間勤務に対する二分の一の課税の見直しなど
・事業所得
必要経費の控除を正確な帳簿とリンクさせる仕組みの導入を検討する
・その他
譲渡所得、不動産所得、一時所得、雑所得についても課税方式や所得区分の 見直しを検討する
配偶者や扶養に対する配慮のあり方についての見直し
・配偶者にかかる人的控除については、夫婦のあり方、就労との関係といった観点を踏まえ引き続き検討する
・少子化対策と税制について、他の政策手段との関係も踏まえつつ、引き続き検討する
税負担水準
実行税率を重視した税負担水準のあり方を検討し、課税ベースの拡大、税率構造の見直しを検討する
など
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