高田吉孝のブログ

がんばれ大家さん!第8回 息子の家を貸してみたら

■孫と暮らすため、息子の家を庭先に 

近郊住宅街に住む中村さん(70歳)は、5年前に息子から自宅の庭に家を建てたい、と言われて少し迷いました。せっかくの庭がなくなってしまう。人一倍植木の好きな中村さんにとって、庭をつぶすのは何よりも辛かったのです。しかし一方で、可愛い孫が自分の家に来てくれることが何よりも嬉しくて、すぐに了解しました。

 息子は当時28歳でお金はほとんどなく、わずか15坪で700万円の2LDKという、小さな平屋を建てるのが精いっぱいでした。ほとんどのお金は中村さんが出してしまいました。息子夫婦のためにではありません。ヨチヨチ歩きの孫のため、いや自分のために建てたのです。すぐに二人目の孫が生まれて、それはそれは可愛いものです。毎日が楽しくて仕方ありません。


■転勤中は定期借家契約で貸す 

家を建ててから5年後、息子は地方へ転勤することになりました。中村さんはがっかりです。いっそのこと息子一人で単身赴任すればいいのにと思ってしまいました。まあそれは無理というもので、あきらめて気を取り直しました。
 早速息子の家を何とかしなくては、ということで息子の家を賃貸することにしました。息子は5年間帰ってこないことが分かっていました。それでも普通に貸すと、後で息子が戻ってきたときに面倒なことになると思い、5年間の定期借家契約にしました。

 家賃は月額12万円(少し低め)です。中村さんは、まあこんなものかと思い、何げなく計算していくうちに驚いてしまいました。12万×12ヵ月×5年分=720万円になります。息子が5年間暮らして、その後5年間貸すと、投資額の700万円は全額元に戻ってくることになります。5年間息子が住んだのは、家賃ゼロだったのかなと思ってしまいました。もちろん多少の修理や、固定資産税の費用はかかりますが、それでもその後も息子が戻るか、またはさらに貸し続けることも十分できます。所得税は減価償却があるので、心配がほとんどありません。


■可愛い孫が導いた?賢い投資

 中村さんは「これは良い投資をした。きっと天使のような孫が導いてくれたのだな」なんて、何にでも孫に結び付けてしまいます。中村さんの家が駅から7分という立地で静かな環境ですから、建物投資が十分採算に合うからです。入居者の人も一軒家の良い貸家がほとんどなく、とても喜んでいました。
 ところで今度借りてくれた人にも、2歳の女の子と5歳の男の子がいます。時々小さい子が中村さんの庭に入ってきて遊んでいます。中村さんにはそれが嬉しくて嬉しくてたまりません。奥さんに「自分の孫ではないんですよ」と言われますが、ついついお菓子をあげてしまいます・・・。

「がんばれ大家さん!賃貸住宅経営の50のヒント」
(タクトコンサルティング 本郷 尚先生著)より転載


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