高田吉孝のブログ

絶好調!第10回個人向け国債と「国債2008年問題」に思うこと・・・

予想(3/19のブログでも少し触れました)通りと言いますか、予想以上に個人向け国債が売れたようです。3月10日(木)から3月29日(火)まで募集された第10回個人向け国債は絶好調のなか募集が終了しました。郵便局では4日間で完売したとの事で、4月11日に発行される第10回個人向け国債の発行額は2兆3,374億円に達し、前第9回債と比べると1.32倍の発行額となり一回当たりの発行額としては過去最高となる見込みとのことです。

初期利子が前回債よりも引き上げられていたことや、大手銀行での管理手数料の無料化などの販促要因もありましたが、やはりペイオフの前面解禁に伴う預貯金からの資金シフトが多かったのではないでしょうか。第9回債で既に10兆円と突破していましたが、第10回までの累計発行額は12兆5090億円となり,その商品性のよさも広まり、個人の資産運用先(安全な?金融資産)として定着したようです。

二匹目のどじょうを狙ってか、財務省は3月31日、新型個人向け国債の発行時期について発表しました。新型個人向け国債は、償還期限が5年の固定金利ですが、中途換金の場合は、前4回分の利息が差し引かれるなど、あまり魅力的な商品と言えないような気がします。

個人向け国債(現在発行中のもの)については、個人的にもその商品性の良さは認めますが、やはり気になるのが、膨大に膨れあがった国債の発行額と改善する見通しのないプライマリーバランス(財政の基礎的収支)です。財政赤字の穴埋めのための「赤字国債」、その赤字国債の償還をするための「借換債」、「財投債」の合計は年間160兆円を超え、16年度の国債発行残高は600兆円を超えているとの事です。

現在の国債の保有状況は日銀の他、民間金融機関や公的機関(郵貯や年金基金など)がそのほとんどを占め、もうこれ以上国債を買う余力がないので、3%にも満たない個人枠の拡大を狙って、登場したのが今絶好調の個人向け国債という訳ですが、ふくれ上がった国の借金を個人に肩代わりさせているようにも思えなくはありません。

国債の問題については、色んな本で国家破綻のネタとして取り上げられていますし、書き出せばきりがありませんので、詳しくは述べませんが、国債償還額がいっきに今の倍近くの40兆円になり国債市場が暴落し、金利の急上昇、株価の下落、それに伴う景気の悪化等が懸念される「俗に言われる2008年問題」は、やはり気になるところです。

ペイオフ全面解禁の中、元本保証信仰が根強い中で、安全な金融資産として個人向け国債が定着した選好された結果となりましたが、やはり国債保有のリスクも考えておかなければならないと思います。

これまで発行された個人向け国債の発行額と初期利子は下記の通りとなっています。

第1回(2003年 3)   3,835億円  0.09%
第2回(2003年 4)   3,486億円 0.05%
第3回(2003年 7)   2,802億円 0.05%
第4回(2003年 10)  9,432億円 0.77%
第5回(2004年 1) 1兆3,951億円 0.62%
第6回(2004年 4) 1兆4,185億円 0.55%
第7回(2004年 7) 1兆7,726億円 0.74%
第8回(2004年 10) 1兆8,652億円 0.74%
第9回(2005年 1) 1兆7,647億円 0.67%
第10回(2005年 4) 2兆3,374億円 0.73%


記事がお役に立ちましたらランキングに
ご協力お願いいたします。
人気blogランキング


相続の基礎知識
 -相続とは
 -相続の手続きと流れ
 -相続財産とは
 -法定相続とは
 -法定相続分の計算方法
 -遺産の取得と放棄

相続税の基礎知識
 -相続税とは
 -みなし相続税とは
 -相続税の計算方法
 -相続税の申告
 -延納と物納

財産評価の基礎知識
 -財産の種類と評価
 -宅地の評価
 -住宅の評価
 -特殊な不動産の評価
 -農地の評価

遺産分割の基礎知識
 -遺産分割
 -遺言による遺産分割
 -協議による遺産分割
 -調停及び審判
 -特別受益と寄与分

遺言の基礎知識
 -遺言の必要性
 -遺言について
 -遺言書の種類と内容
 -その他の遺言知識

相続対策三原則
 -相続税対策
 -納税資金対策
 -争族対策

 -事後対策について

相続対策の手法
 -法人の設立
 -自社株式の対策
 -生命保険の相続対策
 -養子縁組の対策

生前贈与による対策
 -基礎控除の利用
 -配偶者控除の利用
 -住宅取得資金の贈与
 -生命保険料を贈与する
 -相続時精算課税の対策

不動産の相続対策
 -土地の有効活用
 -アパートマンション経営
 -その他の有効活用
 -事業用資産の買換特例
 -低収益物件の再生
 -貸宅地の整理
掲載されている情報は、執筆時の法令と一般的な事例に基づいており、法改正等に対応できていない場合や、具体的な事案にはあてはまらない場合があります。当サイトの情報を下に行った行為については、当サイトの管理者(高田吉孝)及び(株)青山財産ネットワークスは一切の責任を負いませんので、ご了承ください。
Copyright2004 y.takada. 参考文献一覧
記事・写真などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。