高田吉孝のブログ

ライブドアとフジテレビの日本放送株争奪戦に思うこと・・・

これだけ、TV・新聞のほか各メディアで騒ぎになっているので、今更状況を書く必要はないと思いますが、このブログもライブドアのブログを利用しており、個人的にはライブドアという会社を応援してきました(過去形???)し、またその成長を期待して株も少しですが保有しているので、やはり今後の行方がとても気になります。

楽天に敗れたプロ野球の新規球団参入審査の時は、楽天による『ライブドア潰し』に対してライブドアに同情的な意見が多かったと思いますが、今回の件は、私も含め世間からはあまり支持されていないように思います(日本青年会議所が全国の若手経済人を対象に実施した緊急アンケート調査によるとライブドアを支持すると答えた人が56%と過半数を超えたとのことですが・・)。双方の手段に対する法的な問題は別として、特に「ホリエモンはTVに出すぎ」との意見が一般的ではないでしょうか。

気になる株価ですが、昨日はニッポン放送の新株予約権の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請したことで、「ニッポン放送の経営権を獲得する可能性が残されている」(大手証券)との見方から買いが入り、4日ぶりに反発し前日比16円高の346円となりました。今後の展開次第で大きく株価も上下するとは思いますが、今回ライブドアの資金調達に大きな役割を演じたリーマン・ブラザーズ証券が、今後一段と売り姿勢強めるとの観測があるので、個人的には下がる可能性が強いのではと考えています(株式投資は自己責任でお願いします…)。

なお、ニッポン放送株の争奪戦を繰り広げるフジテレビジョンとライブドア両者とも、その買い付け資金を「転換価額修正条項付き転換社債型新株予約権付き社債(MSCB)」の発行に頼るとされていますが、MSCBの実態は、株の数が大幅に膨れあがる増資であり、株価が下落して既存の株主が割を食う一方、財務体力の低下を招く危険性があると言われていますので、結局今回の騒動で損をするのは既存の株主ということになってしまうのではないかと思ってしまいます。

株価下落でもリーマン社に利益が出ると言われている「転換価額修正条項付き転換社債型新株予約権付き社債(MSCB)」とは


まず「転換社債型新株予約権付き社債(CB)」ですが、これはあらかじめ決められた条件で株式に転換することができる権利(=新株予約権)がついた社債のことです。これまでCBと呼ばれていた転換社債は、平成14年4月に施行された商法改正で、法律上廃止されましたが、実務上、転換社債の略称だったCB(Convertible bond)が、現在も使われています。

CBは、マーケットの状況をみながら株式に転換するか、それとも社債のまま保有し続けるのか、選択をすることができ、決められた期間内であれば、あらかじめ決められた株式との交換値段(=転換価格)にて、株式に転換することができます。株式の転換請求をおこなうと、そのCBは償還され、償還金は、そのまま株式を取得する代金となります。

それに転換価額の修正条項がついたものが「転換価額修正条項付き転換社債型新株予約権付き社債(MSCB)」です。

ライブドアがリーマン・ブラザーズ証券に割り当てたCBには、下方修正条項という複雑な条件がついています。受け取れる株式数は転換価格で決まるが、この転換価格を毎週見直したうえ、常に市場価格よりも10%安く転換できることが特徴です。

転換できる価格の下限は157円であり、リーマン社は堀江貴文社長の持つライブドア株を借り受ける契約も結んでおり、リーマン社にとって有利な条件といえます。

このため、株価が上昇しても値ざや(売却価格と転換価格の差)が広がらない代わりに、株価が下落しても10%程度の値ざやが取れる仕組みで事前に借りた株を市場で売却して株価が下落すれば、10%以上の値ざやが取れるため、市場では「リーマン社は今後、一段と売り姿勢を強めるのでは」との観測が出ています。

※なぜリーマン社が売るのか?

リーマン社は、大株主(堀江社長?)から借りた株券を空売りして、会社の株価を下げることができ、そして上で述べた転換価額下方修正条項により、転換価額も下がります。そこで社債を株式に転換して、借りていた株式を返すことにより、1株あたりで空売りの平均単価と転換価額の差額だけ儲かることになるようです。


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