高田吉孝のブログ
一時払い変額年金保険、相続税法12条と24条の併用について
1.変額年金の市場規模
国内の変額年金保険の残高は、今年(2004年)3月末の時点で3兆円程度でしたが、9月末には既に4兆円を突破しているようです。
この間、単純計算で一営業日あたり80億円程度販売されていることになり、2010年には定額年金保険も含めた残高が30兆〜50兆円になるという説もあります。
2.相続税対策におけるメリット
➊健康状態に関係なく、80歳まで加入できる
➋運用成績が悪くても、死亡保険金は保証されている
❸終身保障に移行できるので(銀行の取扱商品は不可)、12条非課税枠が確実に使える
このような商品ですので、資産家の方へのメリットは明確であり、銀行でも大型契約の獲得が容易だと思います。
しかしながら、資産家層に対しては非課税枠を大きく上回る高額契約の販売がされており、その要因になっているのが、一部外資系生保の商品にのみ付保できる「遺族年金支払特約」です。
3.相続税法12条と24条の併用
変額“年金”と言われているように、本来は被保険者本人が自分で年金を受け取ることを目的とした商品ですが、運用期間中に被保険者が死亡した場合には、遺族は保険金を一括で受け取ることになります。
しかし、事前に「遺族年金支払特約」を付保することによって、本来は一括で受け取るべき保険金を、遺族は年金形式で受け取ることができるのです。
この場合の相続税評価の計算は下記のようになります。
【例:4000万円の保険金原資を10年確定年金で受取、
毎年の年金額400万円、法定相続人4人と仮定した場合】
400万円×10年×6割=2400万円 [24条]
2400万円−(500万円×4人)=400万円 [12条]
24条の受給権の評価をした後、12条の法定相続人×
500万円を引くので、500万円の非課税枠が年金の受取期間により2倍以上に増えることになります。
20年確定年金の場合は4割評価ですので、相続人一人当たり1250万円の年金が非課税で受け取れることとなります。
4.税務当局の見解
この解釈には違和感を覚えますが、各金融機関とも個別に国税庁に確認を行っており、口頭ベースではOKがでているようです。
24条改正の懸念もありますが、万が一税制変更があっても死亡時には払込保険料が返ってくるという事実が過去の変額保険トラブルとは異なる点だと思います。
5.資産運用目的商品としての機能
資産運用という点では、変額年金は株式と債券による運用が中心となるため、不動産と組み合わせれば分散投資の説明も大きく説得力を増します。
理屈では外国株式への投資が有効だと分かっていてもなかなか踏みきれない方も多いと思いますが、変額年金のファンドであればハイリスクな商品を選択してもいいのかもしれません(投資は自己責任でお願いします)。
リスクメネジメントグループ 佐藤伸吾 発行
FZC「Wealth Management Report」 より転載
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